「日本の技術力を集中的につぎ込んでやらないといけない」
京都大学原子炉実験所の高橋千太郎教授は、原子炉の冷却に成功して、原発事故は一時的には収束したとした。しかし、原子炉から燃料棒を取り出すまでは、事故は収束しているとは言えないと指摘する。
「原子炉本体からは汚染水が漏れていて、まだストップする手立てができていないのがとても気になります。どれぐらい海に流出しているのか、実態すら分からないままですからね」
タンク事故については、溶接せずボルトで留めただけなどの仮作りであり、2年も経てば傷みが出ることが分かっていたはずなのに、東京電力が十分に管理していなかったことが原因だとした。
ネット上では、東電社員ではないかともいわれる人物が2ちゃんねるで2013年8月25日に絶望的な状況を書き込んだと話題になっている。大地震が起きたり地盤沈下が進んだりすれば、原発がもっと汚染されて近づけなくなり、冷却や汚染水対策ができなくなって移住するしかないと明かしたものだ。
この見方について、高橋教授は、タンクを補強するなどすれば絶望的な状況は防げるとしながらも、こう指摘する。
「東電は、避難されている人たちの心情を理解して、迅速に対応しているとは思えません。できないのなら、政府の責任でやるべきだと思います。汚染水流出については、日本の技術力を集中的につぎ込んでやらないといけないでしょうね」