事務総長は「中立」守る必要がある
本人が述べているとおり、国家間の問題に対し事務総長が一方に肩入れするような発言を行うことは異例だ。国連憲章でも、
「事務総長及び職員は、この機構に対してのみ責任を負う国際的職員としての地位を損ずる虞のあるいかなる行動も慎まなければならない」(第100条)
とその中立性が求められている。任期満了後の「大統領選出馬説」がささやかれているだけに潘事務総長としては国内向けのちょっとした「サービス」だったのかも知れないが、安倍政権としてはたまったものではない。
朝鮮半島地域研究などを専門とする木村幹・神戸大学教授はツイッターで以下のように発言している。
「事務総長が特定の国家を批判する発言は時にある(例えばシリアとか)ので、放置すると歴史認識問題で日本を批判する事は許容範囲になる。国連が『連合国』の延長線上にある事も重要。政府レベルできちんと批判しないと、同様の発言が続く事も」
「何れにせよ『フェアであるべき国連事務総長が日本の歴史認識を批判した』というのは重い。これが『通ってしまう』と、『日本の歴史認識を批判するのはフェアネスに反しない』事になる。日本側が歴史認識問題で自らの主張を通そうとするのであれば、ここは腕の見せ所」