アルツハイマーに比べて知られていない
ピック病は、同じ大脳委縮性疾患のアルツハイマー病と比べて平均発症年齢が若い。アルツハイマーが記憶力低下などの知的機能が衰えるのに対し、ピック病は、特に初期では記憶力や計算の能力は保持する一方で自制力が低下し、感情の荒廃性が著しくなるという。専門家によれば、一日のうちでこうした状態になるのはごく短時間だったりするため、見つけにくく、自覚されないことも多いようだ。アルツハイマーに比べて知られておらず、診断できる医師も多くはなく、介護以外の有効な対処法がないのが現状だ。
ピック病は、チェコの精神医学者アーノルド・ピックが1892年に最初の症例を報告したことから名づけられた。120年以上も前から存在がわかっている病気で、働き盛り世代が失職したり社会的地位を失ったりするのをこのまま見過ごせないとして、厚生労働省は数年前から実態調査に乗り出している。