輸出数量が1年2カ月ぶりに増加
この数字をオーソドックスに評価すると、円安が前年より進んで輸出額が増えたが、火力発電向け燃料の輸入額が増加し、伸び率は輸入の方が高かったため、貿易赤字が膨らんだ、ということになる。
ただ、今回は輸出数量が注目された。7月は1年2カ月ぶりに増加に転じ、前年比1.8%増えたからだ。地域別では米国向けが0.5%増、EU向けは1.9%増と低いながらも伸びた一方、中国を含むアジア向けは1.6%減 だった。また、円安の恩恵を受けやすい自動車に限ると、輸出台数は、米国向けが7.8%増と好調だったものの、中国向けは13.7%減、EUは19.1%減で、自動車全体では0.2%増の51万台余にとどまった。
こうした数字は、今後の見通しも含めて、見方が分かれるところで、大手紙の見出しも、真っ二つに割れた。発表翌日の8月20日朝刊 の分析記事は、「輸出 足踏みの兆し」(日経)、「円安でも貿易赤字続く 勢い欠く輸出」(朝日)と悲観的な2紙に対し、読売は輸出数量増加を評価して「貿易赤字改善へ期待」と した。毎日は共同通信社電をそのまま使った模様だが、見出しは「輸出回復 鮮明に」と肯定的に評価した。