健保組合と「共済」に負担求め、その分を国保支援に回す
その解決策は複雑だ。まず、国が中小企業の「協会けんぽ」に出す補助金を、大企業中心の健保組合と公務員・教員の「共済」に事実上肩代わりさせ、これによって浮かせた国費を国保支援に回すという方式 だ。具体的には、健保組合や協会けんぽ、共済などは75歳以上の人にかかる医療費の4割を分担し、支援金として拠出するが、この分担額の決め方を変更し、加入者の年収に応じて計算する「総報酬割」方式を全面的に広げるという。この結果、加入者の収入が高い健保組合や共済への割当が年に計2000億円余増え、その分協会けんぽは減少、これを原資に国の協会けんぽへの補助金を減ら し、国保支援の財源とする――というのだ。
この国保再編は、単に国保の財政基盤を強化することだけが目的ではない。知事に、地域の実情に合った医療計画を描かせる狙いも含まれている。
政府は早ければ2015年度から、都道府県に地域ごとの医療需要見込みに対応したサービス提供の計画を立て させる考えだ。日本は病床数こそ1000人当たり13.6と世界最高水準だが、病床あたりの医師・看護職 員数も少なく、過剰労働になっているほか、急性期・回復期等の病床機能が不明確で、民間病院と公的病院の役割分担もあいまいなため、高度医療を競う病院が多い半面、介護を中心にした医療ニーズには十分こたえられていないといったミスマッチが指摘される。