国民健康保険の都道府県移管 民間の健康保険組合がなぜ反発するのか

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   市町村ごとに運営され、慢性的な赤字が問題になっている国民健康保険(国保)が2017年度末までに都道府県に移管されることになった。

   政府の社会保障制度改革国民会議 (会長・清家篤慶応義塾長) が2013年8月5日に決定した最終報告書に盛り込まれた。ただ、 負担を求められる健康保険組合は反発しており、計画通り進む保証はないようだ。

国保は全国で年間計3000億円の赤字

   国保は基礎自治体である市町村が担い、約3500万人が加入している。もともとは自営業者や農林水産業者を中心にした公的健保だったが、近年は会社を退職した高齢者や無職、非正規雇用の人が増加し、国民皆保険の最後の砦とも位置付けられる。過疎の町では加入者が減り、また保険料滞納者が増える 一方、高齢者が多いので医療費が嵩むといった問題を抱える。このため、全国で年間計3000億円の赤字になっていて、市町村の多くが負担に苦しんでいる。

   これを都道府県に移管するのは、広域で一つの「財布」にすること で、都道府県内の財政基盤が強い地域が弱い地域を支える形にする狙いだ。ただ、都道府県間、また都道府県内でも市町村ごとの平均保険料は 大きな格差がある。厚生労働省のまとめによると、保険料の各都道府県内の平均額(2010年度、年額)は、最も高い栃木の8万8516円と、最低の沖縄の5万3524円で3万5000円近い差がある。

   同一県内の市町村間の保険料格差も、最も大きい東京都の場合、最低 の三宅村(4万2035円)と最高の千代田区(11万5724円)で2.75倍の格差がある。これを一律にならすと、三宅村は3万8695円アップする半面、千代田区は3万4994円の負担減になる計算になり、変化が大きすぎる。このため、同じ都道府県でも市町村 ごとに一定の保険料の違いを残す見通しだ。

   こうした問題を抱えるだけに、今回の再編を巡っては都道府県の抵抗が強かった。赤字問題のツケを押し付けられるのはまっぴら御免ということだ。そこで、国保の赤字体質を国が改善することが条件とされ、 赤字穴埋め策が焦点になった。

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