首都圏のマンション販売が好調だ。不動産経済研究所(東京都新宿区)が発表した2013年7月の東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県のマンション発売戸数は前年同月比31・6%増の5306戸と3カ月連続の増加で、7月としては2007年(6409戸)以来、6年ぶりの高水準を記録した。
住宅ローン金利の先高感や来春の消費増税の動きをみすえ、マンション需要は拡大を続けている。
東京23区が前年同月比で2倍超
発売した月のうちに売れた割合を示す「契約率」は81・6%で、前年同月より8・4ポイント上昇。契約率は70%超が売れ行き好調の目安とされており、70%超えは6カ月連続となる。7月の1戸当たりの価格は前年同月より9・9%増の5128万円、1平方メートル当たりの単価は72万7000円で同12・2%増と2ケタの増加で、価格も上昇傾向を強めている。
地域別の販売戸数では、全体の約6割のシェアを握る大市場、東京23区が3124戸と前年同月比で2倍超にのぼった。都心部の中央区・月島で高層の大型物件が売り出されるなど供給サイドの積極的な販売姿勢が需要全体を押し上げているのも実態だ。また、埼玉県の販売戸数も786戸と前年同月の約2・3倍の盛況ぶりだった。
こうしたマンション販売の好調さの背景については、「住宅ローン金利の動向が最も大きく影響している」(不動産業界関係者)との見方が強い。最近は長期金利が落ち着いていることなどから、大手銀各行は住宅ローン金利を引き下げる動きを強めているが、「やはり長期的に見れば金利は上昇する方向にあると思っている消費者が多い。このため、『今が買い時』と見て、急いで買おうという人が増えているのではないか」(同研究所)という。
「引き続き好調に伸びていくだろう」との見方強まる
さらに、14年4月に予定されている消費増税が市場全体を後押しし、好調な売れ行きに結びついているといえそうだ。一方、消費増税を前にした駆け込み需要については、「政府の減税措置など政策効果が働いており、激しい駆け込み需要は今のところ見えない」(業界関係者)との指摘が支配的だ。
今後の販売動向については、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」効果による景気回復傾向もあり、「引き続き好調に伸びていくだろう」(業界関係者)と前向きな見方が広がっている。 ただ、やはり懸念されるのは金利の動向だ。同研究所は「仮に、金利が想定以上に上がれば、市場が崩れる恐れもある」とする。「今のうちに急いで買おう」と動き出している人たちが、金利の大幅上昇となれば、逆に購入をあきらめる行動に切り替わる可能性もあるためで、アベノミクスが所得増につながるかが大きなカギとなる。