就活生に朗報だ。民主党政権時に進められていた国家公務員の新規採用の抑制策が見直されたため、2013年度(14年春入省)の国家公務員一般職試験(大卒程度、旧2種試験)の合格者は6017人と、前年度の2.1倍に増加した。
2015年春の公務員採用も、同様の傾向が続くとみられる。
合格者、一般職は2.1倍、総合職も1.3倍増える
政府は国家公務員の新規採用について、2014年度の国家公務員の新規採用方針で、国家公務員の採用の上限数をあらかじめ設定する民主党政権時の採用方式をやめ、14年4月の入省予定者から、各府省が必要に応じて採用数を決められる方式に戻すことを決めた。
政権交代前、民主党は2009年に約30万人だった国家公務員の定員を5年間で約3万人削減する合理化計画を打ち出した。09年度の新規採用(8511人)と比べて、11年度は37%減の5333人、12年度は26%減の6336人、さらに13年度は比較可能な1974年以降で最も少ない3780人(56%減)に抑えるようにした。
しかし、その結果、年齢層にバラツキが出て組織の歪みが生じたり、新たに公務員を希望する人、なかでも若者の雇用が減ることなどが懸念されたりと、自民党は大幅抑制に反発。政権交代後の2013年1月、13年度(14年春入省)の採用人数を4165人に増やすなど、「過度な抑制ではなく、必要に応じてやる」(新藤義孝総務相)ことにした。
そうした中で、人事院は2013年8月21日、2013年度(14年春入省)の国家公務員採用一般職試験の合格者6017人を発表した。合格者数は前年度の2.1倍に増加。各省庁が採用枠を広げたため、2年ぶりに増加した。
合格者のうち女性は1722人。全体の28.6%を占め、前年度から1.2ポイント上昇した。前年度に13.7倍あった倍率は6.0倍に下がった。
これより先の6月24日に発表した、政策の企画・立案などを担う総合職(旧1種試験)試験の合格者は、前年度より約1.3倍、383人多い1753人。女性の合格者は28人増の342人で、全体に占める割合は19.5%だった。
人事院によると、2013年4月に、実際に入省した人は一般職2893人の合格者に対して約1000人、総合職1370人に対して500人弱という。「14年度は各省庁も採用予定人数を増やしていますので、それ(合格者)に見合った人員を確保すると思います」(人事院)と、採用が増えることは間違いないようだ。
14年春の採用試験合格者、「倍増するとは思わなかった」
公務員試験の予備校でもある「資格の学校」TACは、「自民党政権になって採用抑制が見直され、合格者が増えることは予想していましたが、さすがに(一般職が)2倍も増やすとは思いませんでした」と、驚く。
「(民主党政権は)まず削減ありきで、仕事量が増えすぎたり、仕事が引き継がれないままだったりと、現場が大混乱している話はよく聞きましたから、新たに採用した人材を、人手不足の部署に配置するところから始めることになるでしょう」と話し、2015年春の新規採用も機動的、弾力的に実施していくことになりそう。採用枠が広がる可能性もある。
一方、ここ数年の就職氷河期や安定志向の高まりもあって、国家公務員を志望する人は増えている。TACは、「公務員の志望者は、景気がよくなって民間企業への就職が上向くと減る傾向にありますが、この春は増えました」という。なかでも、女性。また地元志向の強まりから、地方公務員の志望者が増えている。
半面、国家公務員の総合職を志望する人は減少している。人事院によると、2013年度の総合職の応募者数は1633人減の2万2248人で、競争率は12.7倍と前年度の17.4倍より下がった。