マレーシアの格安航空会社(LCC)の中長距離部門「エアアジアX」のアズラン・オスマンラニCEOが2013年8月23日、都内で会見を開き、今後1年~1年半で輸送能力を倍増させ、現在乗り入れている羽田、関西空港以外に名古屋、福岡、札幌への乗り入れを検討していることを明らかにした。
現行の日本-マレーシア路線に加えて、日本と東南アジア諸国を結ぶ路線も開設する方針だ。
IPOで調達した297億円 を路線拡大に振り向ける
同社は、エアアジアグループのうち、飛行時間4時間以上の中長距離路線を担当。日本路線ではクアラルンプールと羽田空港、関西空港を結ぶ路線を開設している。羽田線は毎日運航で、現在は週4便の関西線も11月25日から増便されて毎日運航になる。
13年7月に株式上場したばかりで、調達した3億ドル(約297億円)を路線の拡大に振り向ける。現時点で保有するのは11機だが、13年末までに7機増やす。名古屋、福岡、札幌のうち、1年以内に少なくとも1か所に乗り入れる。
それ以外にも、日本からタイやインドネシアといった東南アジアを結ぶネットワークも拡大する。羽田空港は発着枠の制限が厳しく、首都圏の拠点は成田空港になる見通し。オスマンラニCEOによると、昼間に乗り入れる方向で成田空港とは協議が進んでいるといい、成田-バンコク線という具体的な路線名に触れながら、
「厳密に精査・検討中。成田-バンコク路線は大型レジャー路線として知られており、(レジャー客が多いエアアジアXは)乗客のプロフィールにマッチする航空会社だ」
と意欲を見せた。タイに長距離路線を専門にする現地法人を設立し、日本に乗り入れる方針だ。
ANAとの破談には「バニラよりもストロベリー味が好き」
また、エアアジアがANAホールディングス(ANA HD)との合弁会社「エアアジア・ジャパン」との提携を解消したことについては、新ブランド「バニラ・エア」を皮肉りながら、
「バニラよりもストロベリー味が好き」
「大きな影響はなく、拡大戦略を進めるということのブレはない」
と述べた。エアアジア・ジャパンは国内線や近距離路線を中心とした会社だったが、オスマンラニ氏は、
「短距離と長距離をひとつの航空会社の中で持つことは大きな優位性をもつ」
と述べ、再参入に含みを持たせた。