高橋洋一の自民党ウォッチ
新聞社買収がほとんど不可能な日本 業界を守る法と制度がこんなにあるからだ

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   米アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)が米紙ワシントン・ポストを2億5000万ドル(約250億円)で買収すると、8月5日(現地時間、2013年)報じられた。

   新聞はネットに押されて衰退産業になっているアメリカでありそうなことだ。メディアの身売りは、米国では珍しい話ではない。こうしたことが日本で起きるのだろうか。まったく架空の話だが、たとえば楽天の会長兼社長、三木谷浩史氏が毎日新聞を買収することはあり得るのか。

   結論から言うと、多分ありえない。これは三木谷氏でなくても誰にでも当てはまるが、新聞社の株式を買うことはほぼ不可能なのだ。

他企業の「ガバナンス」批判する新聞に欠ける説得力

   商法では、株式について、個別会社によっては譲渡制限株を発行することも可能だ(会社法108条)が、原則として譲渡自由だ。

   ところが、新聞社については、堂々と譲渡制限できるという「法律」がある。その法律は、「日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律(昭和二十六年六月八日法律第二百十二号)」である。わずか4条の法律なので、政府の法令検索で見たらいい。

   第一条で株式の譲渡制限ができること、第二条で譲渡制限を株券に記載すること、第三条で新聞廃刊などの時には譲渡制限を解除すること、第四条で譲渡制限規定を登記することが書かれている。新聞社だけに何とも豪勢な法律だ。こうした新聞社に対する特例法律があるのは、他の先進国でまずみない。

   そして、一般会社とは別に新聞社だけにこうした特別な法律が存在することを背景として、同族経営が行われ、その結果、取締役陣は地位が事実上保証され、スーパーパワーを持っている。

   別に、同族経営や非公開会社が悪いというつもりはない。しかし、新聞がコーポレート・ガバナンスがなっていないと特定企業を批判するときには説得力が欠けてしまうのは事実だ。

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