コメの輸入に778%の高関税
コメの自給率が高いのは、日本政府がコメの輸入に778%の高関税をかけ、海外から安価なカリフォルニア米などが輸入されるのを防いでいるからだ。日本は年間約800万トンのコメを消費しているが、輸入はWTO(世界貿易機関)協定に基づき、義務付けられている最低限の輸入(ミニマム・アクセス、年間約77万トン)に限られている。
ところが日本がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加した場合、安価な輸入農水産物が増えることから国内の食料自給率が低下することが懸念されている。農水省は日本がTPPに参加した場合、食料自給率は現行の39%から27%程度に低下すると試算している。自民党はコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物(砂糖になるサトウキビやテンサイ)等を関税撤廃の例外とする「重要品目」と定め、これらの「聖域」を守れない場合は交渉から離脱するよう安倍政権に求めている。
TPP参加でコメに対する高関税が撤廃されれば、安価なカリフォルニア産米が日本のスーパーマーケットに大量に並ぶ可能性が高い。消費者にとって選択の自由が高まるのはよいことかもしれないが、日本の食料自給率の低下は避けられない。TPP交渉が進むにつれ、食料自給率をめぐる議論が新たな課題に浮上するのは間違いない。