最高裁判例出るまでは憲法解釈は内閣の役割
これまでの政府見解を支えてきたのが内閣法制局だ。安倍内閣は、解釈見直しに積極的だとされる前フランス大使の小松一郎氏を長官に起用し、見直しの動きを後押しする。
これに反発しているのが小松氏の前任者で、最高裁判事に就任したばかりの山本庸幸氏。山本氏は8月20日の会見で、憲法解釈の見直しについて「難しい」と述べ、集団的自衛権を実現するためには「憲法改正をした方が適切だ」と見解を示した。
この発言に対して、政府は異例の反応を示した。菅義偉官房長官は8月21日の会見で、
「(山本氏は)内閣法制局のトップを務めて、まさに合憲性の最終判断を行う最高裁の判事だから、公の場で憲法改正の必要性まで言及したことについては、私は非常に違和感を感じている」
と批判。また、
「憲法解釈というのは、具体的に提起された事件に関しては、最高裁の判例を通じて最終的に確定するが、最高裁の判例で確定するまでの間に、政府として憲法解釈を行う必要がある場合は、内閣を補佐する機関である内閣法制局の専門的知見を活用しながら第一義的には内閣が行う」
と述べ、最高裁の判例が出るまでは憲法解釈は内閣の役割だとの見解を示した。