スペインで高層ビルの完成間近にエレベーターを付け忘れていたことが発覚した――こんなとんでもないニュースが数日前に世界中を駆け巡ったが、実はこれ「大誤報」だったらしい。
「ガセです。メディアのプロ意識の欠如が露呈しましたね」
当の高層ビル公式アカウントがツイッターで力強くこう断言している。いったい何があったのか。
エレベーターは少なくとも6台はあり、46階までいける
英GIZMODO(ギズモード)は2013年8月13日、スペイン紙「El PAIS」の報道として「スペイン南東部アリカンテで建造中の高さ約200メートル、47階建ての高層住宅In Tempoはエレベーターを付け忘れてしまった、と報じた。当初、20階建てで計画されたのを後に47階建てへと変更した際、設計者が増築分のエレベーターの設置を忘れ、誰もこの欠陥に気がつかないまま工事が進められたが、今から内部にエレベーターを設けるのは不可能だ、という内容だ。
あまりにも衝撃的な内容だったため、英Daily Mail(電子版)や仏ハフィントンポスト、ロシア・トゥデイ(電子版)も取り上げすぐさま世界中に拡散した。日本ではGIZMODO日本語版だけでなく、産経新聞(電子版)や読売新聞のコラム・編集手帳も取り上げて、「それが太陽の国と呼ばれるスペインの、のんびりした気風なのかもしれない」(読売新聞18日付編集手帳)などと微笑ましく伝えた。この他、とくダネ!(フジテレビ系列)、ひるおび!(TBS系列)、サンデー・ジャポン(TBS系列)といったテレビ番組が相次いで報じた。
ところが、件の高層ビルIn Tempoの公式ツイッターアカウントは「ガセです。メディアのプロ意識の欠如が露呈しましたね」と断言、仏ハフポやRTのアカウントに向けて、「それ嘘ニュースです!エレベーターはもちろんありますよ!!」「悪質なデマですね。いまは普通にエレベーター動いています」などと訂正に奔走している。
確かに、現地を実際に取材したブログを見ると、エレベーターは少なくとも6台はあり、46階までいけることが確認できる。最上階(47階)には階段を使っていくようだ。