地銀は「地方の一国一城の主」だから・・・
それはともかく、地銀の再編はこれまで進んでいなかった。なにしろ、1990年3月末に13あった都市銀行が今年の3月には6と半減(グループ傘下銀行数の合計で、グループ数は4)なのに、地銀は同じ期間に64のまま変わらなかった。第二地銀は68から41に減ったが、経営が悪化し吸収合併などの形で消えたケースがほとんど。
地銀の再編が進まない理由として「地方の一国一城の主としてのプライドの高さ」(大手行幹部)を指摘する声が多い。行名が変わったり、誰かの軍門に下ったりするかのような再編など考えたくもないということだろう。第二地銀とも違って「県などの指定金融機関になっているなど、努力しなくても預金が集まり、有力な取引先にも恵まれている」(金融当局)から、さほど経営も悪くない。
しかし、人口減で衰退気味の地方経済と地銀の経営が無縁であるわけもなく、いつまでも安泰なわけもない。中小企業の資金需要は低迷し、メガバンクなどと激しい住宅ローンの競争を戦わねばならない。これまで融資による利益の減少を穴埋めしてきた国債の売買益も、日銀の異次元緩和で今後は儲からない可能性が高い。それどころか、長期金利上昇で国債の保有自体がリスクとなることも予想されている。
経営環境の悪化が見込まれるなか、県境を越える広域再編によって規模拡大と経営効率化を同時に進めることが地銀の喫緊の課題、というのが3年目に入った畑中龍太郎金融庁長官の持論とされる。過当競争に限界を感じ、都民銀に続く地銀が現れそうな雲行きだ。