中部電力「首都圏への越境売電」は電力市場を変えるか 富士市に火力発電所新設して東電を揺さぶる

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   中部電力が、三菱商事子会社の電力小売事業者「ダイヤモンドパワー」(東京都中央区)を買収し、東京電力の営業管内である首都圏を対象に電力の販売事業を始めることになった。既存の電力会社がかたくなに守り合ってきた地域独占市場で、初めての本格的な越境販売になる。今後、電力市場の競争が加速する可能性も強まっている。

これまでは九州電力の一例のみ

   ダイヤモンドパワーは2000年の規制緩和で小売り参入が認められた「特定規模電気事業者」(新電力)で、首都圏の百貨店や工場、事務所などに電力を供給している。中部電は10月1日付で、ダイヤモンドパワーの株式の80%を取得し、優良顧客が多いとされる販売先も引き継ぐ。また、9月には三菱商事、日本製紙と一緒に静岡県富士市に石炭火力発電所を新設する。同発電所は2016年5月の稼働を目指し、発電した電力の全量をダイヤモンドパワーが首都圏の顧客向けに販売する計画だ。

   2000年の規制緩和で大規模事業者向けの電力小売りが自由化され、電力会社が自社の営業管内を超えて電力を供給できる環境が整った。しかし、既存の電力会社は事実上の地域独占体制を壊すことなく、それぞれの営業区域を相互に守り合ってきたのが実態だ。実際、電力の越境販売の例は、九州電力が中国電管内の商業施設に供給するというわずか1事例にとどまっていた。

   中部電による電力の越境販売は、こうした地域独占体制を崩す取り組みで、競争原理が働かなかった電力市場に一石を投じるものと思える。同社があえて電力会社の結束を破るかのような試みに動き出した背景には何があるのか。

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