米大手新聞の衰退が始まった(上)
NSA機密情報漏えい、マスコミが主役の座追われる

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   新聞を代表とするマスメディアの黄金時代は70年代だった。ワシントン・ポスト紙の二人の若手記者による執拗な取材は、現職大統領の権力悪用という違法行為の全容を解明しニクソン大統領を辞任へと追いやった。ウォーターゲート事件は権力のお目付役と自認するメディアがまさに我が意を得たりとする快挙であった。

   だが、インターネットの到来はメディアにとって不確実な時代の幕開けになる。新聞やテレビなどのマスメディアは競ってインターネットに進出したが、その着地点は見えず「ネット時代にマスメディアはどうなるか」という問いが過去20年間に繰り返し問われてきた。

   ようやくそのヒントが見えてきた。一言でいえばレーゾンデートル(存在理由)の低下、つまりマス(大衆)に向けて情報を一方的に垂れ流してきたメディアの衰退が現実になり始めた。情報の流れをコントロールしてきたマスコミが主役の座を追われ、情報源がその席に座るという従来の常識では考えられなかった事態が発生しているからだ。その典型的な例が米国家安全保障局(NSA)の派遣職員が内部告発した機密情報漏えい事件である。

英ガーディアン紙電子版が顧客通話記録をNSAに提供していると報じる

   元CIA職員で情報セキュリティーの専門家であったエドワード・スノーデン(30)は、米政府機関を顧客にするコンサルティング会社ブーズ・アレン・ハミルトンの社員としてNSAに派遣され、今年3月から5月までハワイにあるオペレーション・センターでシステム・アドミニストレーター(管理者)として勤務していた。

   NSAが米市民の電話や電子メールなどの個人情報を極秘でモニター(監視)している事実が報道されたのは2013年6月初旬だった。英ガーディアン紙の電子版が、米携帯電話会社最大手が日常的に顧客の通話記録をNSAに提供していると報じた。翌日にはワシントン・ポストとガーディアンの両紙がプリズム(PRISM)と呼ばれるNSAの極秘プログラムの存在を特ダネで報道した。グーグルやフェイスブックなどのウェブサービスで交換される電子メール、文書、接続記録などをNSAが捜索状無しに収集しているという内容だった。スノーデンが勤務先で密かにダウンロードしたNSAの機密文書がその情報源であった。

   スノーデンの内部告発は思いつきではなく用意周到の結果といえる。内部告発をテーマにしたドキュメンタリー映画に取り組んでいた映画作家のローラ・ポイトラスに初めて接触したのが1月だったというから、NSAに派遣される以前の段階である。

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