休戦協定破棄の宣言は「キューバ危機以来の『最も深刻な核戦争の危機のひとつ』」
今回の件に限らず、カストロ氏は北朝鮮に恩義を感じているようだ。
2013年3月には、北朝鮮が米韓軍事演習に反発して朝鮮戦争の休戦協定を一方的に破棄すると宣言、朝鮮半島内の緊張が高まった。これを受ける形で、カストロ氏は4月4日付けで「朝鮮半島での戦争を避ける義務」と題して前出の「グランマ」に寄稿している。
その中で、朝鮮半島の状態は1962年のキューバ危機以来の「最も深刻な核戦争の危機のひとつ」だと警告。朝鮮戦争で多数の死者が出たことにも言及した。その中で、金日成主席と会談した時のことを回想しながら、「歴史上の人物。とりわけ勇敢で革命的」と絶賛。
「朝鮮民主主義人民共和国は常にキューバと友好関係にあったし、同様にキューバは、これまでも、これからも同国とともにあり続ける」
と北朝鮮支持を鮮明にした上で、
「戦争を避ける義務もオバマ大統領と米国国民のものだ」
と朝鮮半島で緊張が高まっている責任は全面的に米国側にあると主張している。
なお、この文章では「北朝鮮」という略称は使われていない上、「大韓民国」「韓国」「南朝鮮」といった朝鮮半島の南半分を指す言葉も登場せず、事実上無視しているとも言える。
ちなみにキューバと韓国は外交関係を結んでいない。
両国関係は現在も「相思相愛」といってもおかしくなく、金正恩第1書記は2013年7月26日、フィデル・カストロ氏の弟のラウル・カストロ氏に、
「わたしは、尊敬するフィデル・カストロ同志の指揮のもとで親米的な軍事独裁政権に反対する武装闘争の序幕を開いた英雄的なモンカダ兵舎襲撃60周年に際し、貴方とキューバ共産党とキューバ共和国政府と人民に熱烈な祝賀と戦闘的あいさつを送る」
という内容の祝電を送っている。