人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ(ももクロ)」が、「反日アイドルだ!」と攻撃を受けてしまっている。
社会学者の古市憲寿(ふるいち・のりとし)氏の著書に掲載された、「韓国の言い分を知りたい、歴史のこととか」などという発言に対し、「ネット右翼(ネトウヨ)」が反発の声を上げているのだ。
「K-POPとか韓国料理とかあると、韓国っていいじゃんって思うよね」
問題視されているのは、古市氏の新刊「誰も戦争を教えてくれなかった」(講談社)だ。
古市氏は「憲法改正に興味を持っていて、『戦争は絶対にしたくない』と心配そうに言っていた」「ジャパンエキスポに参加しながら、『日本』のことをおぼろげにしか理解していない」ことで、ももクロに強い関心を抱き、対談が実現。それが巻末に掲載された。
「日本が終戦を迎えた日」を「8月5日」「1038年11月」、「都市の小学生が地方に移り住んだこと」を「過疎化」「防空壕」と答えるなど、太平洋戦争についての知識を問われトンデモ回答を連発しつつ、戦争については「みんなが死ぬってイメージしかない」(高城れにさん)「戦争が起きて、『ま、いっか』って思うのは嫌だよね」(佐々木彩夏さん)と、全員マイナスイメージを持っていることがわかった。
そして、韓国については「日本でも、韓国にいいイメージを持たない人がいるのと同じで、韓国には韓国の言い分があるじゃん。それが喧嘩のきっかけになっちゃうんだったら、もっとちゃんと韓国の言い分も知りたい。歴史のこととか」(高城さん)「ももクロを韓国に進出させるから、そのかわりBIGBANG(編注:K-POPの男性グループ)もぐいぐい来て下さいという関係になればいいのに」(玉井詩織さん)「確かにK-POPとか、美容とか、韓国料理とかがあると、めっちゃ韓国っていいじゃんって思うよね」(佐々木さん)などと語った。
「日本に誇り持つ」「アイ・ラブ・ジャパン」日本愛もアピール
こうした発言が、一部ネットメディアで「ネトウヨ激怒必至!?」という見出しで伝えられると、この本を読んでいない人々にも内容が広く知れ渡った。
ネット上では、「ももクロのバカヤロー!韓国は嘘つきだから学べるところなんかひとつも無い!」「無知は罪なり。自虐歴史ばかり教えてるからこういうド馬鹿がドヤ顔で発言する」「やっぱ日本で暮らしてるのに韓国擁護するような奴はメチャクチャな歴史観しかないクルクルパーなんだなww」など非難が相次ぎ、ももクロのキャッチコピー「週末ヒロイン」をもじって「反日ヒロイン」とまで書き込まれた。
しかし対談を読んでみると、ももクロが日本に対しても思いを持っていることがわかる。
古市氏に「『国』って意識することはある?」と聞かれ、「『アイ・ラブ・ジャパン』っていろんなとこで言ったりはする」(百田夏菜子さん)「日本のアイドルだってことはどこ行っても主張してる」(玉井さん)、「海外に行って公演をするとどんな気分になる?」と聞かれると「日本に誇りを持つ。代表なんだって思っちゃう」(高城さん)「いろんな国の人たちが日本を認めてくれてるのかなって感じました」(佐々木さん)とそれぞれ語っている。「日本に生まれて良かった」とも口を揃え、「反日」と決めつけるには少々無理な内容だ。
ももクロファンからは「どちらかと言えば右寄りの僕が言うから間違いない。古市本のももクロは全然反日的ではなかった」「いつも通りの世間知らずだが平和主義なももクロでしかなかった」「ももクロが反日だって!?サマーライブのOPは日の丸掲揚で国歌演奏だよ!?」など、「ももクロ叩き」への反論が書き込まれた。
ももクロ好きを公言する民主党の津村啓介議員も、
「れにちゃんのコメントは、誰かを傷付けるものではなく、色んな立場の方々に配慮しながら、あくまで未来志向で、若者らしい好感の持てる内容だと思います。そんな彼女のポジティブなコメントに、あえて『嫌韓批判』などといった政治的レッテルを張ることに疑問を呈しました」
とツイートした。
一連の騒ぎについて、著者の古市氏はツイッターで
「相手の立場も知りたい、戦争よりも平和がいい。そんなまっとうなことを言ってバッシングされるのならば、それはまっとうな状況ではないと思う。もちろん、バッシングをしている人も全文を読めば印象は変わるのだと信じているけれど」
と嘆いている。