ミス続きの選手交代、守備重視に変更など「変化が必要」
石井氏は「多少の違和感は残るかもしれませんが、メディアが騒ぐほど監督と選手の間に意識差が生まれたとは思えません」と話す。選手が掲げる「W杯優勝」という目標は、前回の南アフリカ大会の「ベスト16」を超えて高みを目指すために必要。だが強豪国と比較して現時点で日本代表が優勝できる力をそなえているかは別問題だ。コンフェデ杯と今回のウルグアイ戦で、トップクラスとどれほどの差があるかを痛感しているのは、ほかならぬ選手たちだろう。
色めきたったメディアに対して、ファンは比較的冷静に受け止めているようだ。インターネット掲示板をみると「現状でW杯優勝掲げるような指揮官もどうかと思うがな」「ベスト4にも入ったことがない国で現実的な目標が優勝ですってありえないだろ」と「ザック発言」にある程度納得する雰囲気はある。ただし、監督自ら「優勝は目標ではない」と言ってはダメだろう、との声も出た。
指揮官として、ウルグアイ戦でも守備崩壊を食い止める有効な策を打てなかったのは事実だ。サッカー解説者で元日本代表の北澤豪氏は8月14日放送の「NEWS ZERO」(日本テレビ系)で、「コンフェデ杯で大敗したときと変わっていない。対策はなかった」と指摘。同じくサッカー解説者の澤登正朗氏も同日放送された「報道ステーション」(テレビ朝日系)で「(守備の)最終ラインだけでなく、前線からの守備をしっかりしないといけない」と提言した。交代枠を全員使い切らず、今回召集した守備の新戦力を試さないまま終わってしまった点も疑問が残る。
石井氏も「変化が必要」と主張する。ミス続きの選手を交代させる、あるいはフォーメーションを多少守備重視に切り替える、といった具合だ。ただザッケローニ監督は「我々には我々のアイデンティティーがあり、それを貫きとおさなければならない」と話しており、現状からの大きな変更は考えていなさそうだ。本田選手も試合後のインタビューで「僕らはこれで正しいと思っている。このやり方を貫く」と監督に信頼を寄せた。方向性がぶれていない以上、監督が現状を打破する妙手が打てれば、1年後の本大会での好成績につながるはずだ。