国内携帯電話メーカーが事業戦略の見直しを迫られている。各社の2013年4~6月期連結決算が出そろい、携帯電話事業が経営の足かせになっている構図が浮き彫りになったからだ。
NECがスマートフォン(多機能携帯電話)から撤退し、パナソニックも撤退の検討を進めている。他メーカーも米アップルや韓国サムスン電子に押され、苦境に陥っており、今後の動向が注目される。
ドコモのツートップ戦略でダメージ
「スマホへの取り組みが遅れ、魅力ある商品開発ができなかった」。NECの川島勇取締役は7月末にスマホ事業からの撤退を発表した際、こう述べた。携帯出荷台数は昨年4~6月期の80万台が今年は45万台へと激減。ソニーとサムスンの2機種を推奨するNTTドコモのツートップ戦略も追い討ちとなった。ただ、「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話については「開発費が安く収益が見込める」(川島取締役)との理由から継続する。
パナソニックの携帯事業も4~6月期で昨年の37億円の営業赤字が54億円に拡大し状況は厳しい。同社は個人向けスマホ事業からの撤退を検討しており、法人向けに特化する考えだ。
富士通も携帯事業は100億円超の営業赤字だった。しかし、同社は「スマホ市場は大きく、逃げることはない」と事業を継続することを明言。高齢者向けの「らくらくスマートフォン」に活路を見いだそうとしており、国内だけでなく、フランスでも試験的な販売を始めている。同じく苦境に陥っているシャープや京セラも事業を継続する方針だ。
ただ、国内市場でアップルやサムスンの存在感が増すなか、「日本メーカー全てが生き残るのは難しく、今後も撤退せざるを得なくなる企業も出てくる」(大手メーカー幹部)との見方が広がっており、再編圧力は尽きない。