02年に取り壊された旧公邸はさらに悲惨だった!
幽霊問題は「出ては、消える」類の話題だが、安倍首相は第1次内閣時代に8か月ほど公邸に住んだことがあり、この時に公邸の住み心地の悪さを思い知ったのが私邸からの通勤を続けている大きな理由だとみられている。菅氏も会見で、
「大変な激務なので、総理が一番仕事をするのにふさわしい環境で仕事をしてもらうのがいい」
と、このことを示唆する発言をしている。
1929年に旧官邸と同じ敷地内に建てられ2002年に取り壊された旧公邸では、さらに「幽霊問題」が深刻だったようだ。
羽田孜元首相のファーストレディーとして旧公邸に住んだ羽田綏子(はた・やすこ)さんは、1996年に出版した「首相公邸 ハタキたたいて64日」(東京新聞出版局)の中で、入居前の下見の段階で
「悪寒が走ったと申しましょうか、何か胸を圧せられるような異様な雰囲気」
を感じたといい、
「公邸にただならぬ『何か』を感じたのは私だけではなかったらしく、細川首相の佳世子夫人はお子さん達と同居されず、寝室を一室お使いになっただけで、残りの部屋にはお香を焚かれていたようです。私が下見にまいりましたときに、まだ残り香がたち込めていたのがとても印象的でした」
と振り返った。おはらいに来た知人の女性行者は、「霊などがうようよいる」と指摘し、自分が気持ち悪いと感じている部屋の押し入れの所に案内すると、「確かにここはひどい。引き込まれそうです」と断言するほど。
後に国交相を務めることになる長男の雄一郎さんは、旧公邸の周りに塩をまいてから出勤するのが日課だったという。
さらに、綏子さんが「身の毛もよだつ、怖い話」として振り返るのが、風呂場でのエピソードだ。雄一郎さんが風呂の残り湯を捨てていたところ、「何か」が排水管に詰まっていた。秘書に手伝ってもらいながら取り出したのは、何と髪の毛。雄一郎さんは
「佐藤(栄作)総理の時代のものなのかなァ―と思って笑ってしまった」
と話していたという。