たび重なるリコール問題や戦略車の販売失速で体力の消耗が続く三菱自動車が、国内大手自動車メーカーから資本参加を受けて生き残りを目指すとの見方が出てきた。
2000年のリコール隠し問題に端を発した経営危機以降、三菱自を支援してきたグループ御三家の三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の3社が保有する優先株の一部の強制転換期限が2014年6月に迫っていることを受けて、グループ首脳の一人が複数のメディアに「(大手メー カーとの資本提携について) 可能性を探っている」と発言。その相手先について、業界内ではカルロス・ゴーンCEO(最高経営責任者)が率いる日産自動車が最有力との見方が強まっている。
資金繰りを支えたのが御三家を中心とする三菱グループ
三菱自は今年6月末(2013年)の株主総会で、資本金と資本準備金の取り崩しで累積損失9200億円を一掃することを決めた。最大の狙いは2014年3月期に16年ぶりの配当を復活させることだ。
同社は一連のリコール隠しとその後の独ダイムラー・クライスラー (当時)の提携打ち切りで経営破綻の瀬戸際に追い込まれた。その際に計約6000億円の優先株を引き受けて資金繰りを支えたのが御三家を中心とする三菱グループだ。
優先株は株主総会での議決権がない代わりに、普通株に優先して配当が得られるのが特徴。引き受ける側には、ただの経営支援ではなく、配当を目的にした投資と説明できることがポイントで、国による大手銀への公的資金注入にも活用された。しかし、三菱自は過去のリコール費用や販売不振で多額の累損を抱えており、これまで優先株への配当は一度も行われていない。御三家以外のグループではすでに優先株を普通株に転換して売却した企業も多い。