韓国電力危機で官公庁に「冷房禁止令」 「強制節電」の異常事態

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   日本ほどではないが、かなりの猛暑が続く韓国で、電力需給が綱渡り状態だ。不祥事で原発の多くが停止している上に、火力発電所の一部もトラブルで停止したからだ。政府は節電規制に従わない企業の実名を公表したり、官公庁に「冷房禁止令」を出したりするなど、これまでにない厳しい対応が行われている。

学校も猛暑で続々と休校に

   韓国では、試験証明書を偽造した不祥事や、点検で原発23基中6基が長期にわたって停止している上、2013年8月11日には火力発電所2か所でもトラブルが発生。1か所は稼働停止が1週間程度続く見通しで、もう1か所は1時間程度で再稼働したが、発電容量の半分程度での運転を余儀なくされた。

   8月9日には、電力供給の余力にあたる「予備電力」が350万キロワットを割り、5段階ある電力警報のうち、緊急度が4番目に高い「関心」が発令された。電力需要は休日よりも平日の方が高いため、土日を挟んた週明け8月12日には節電対策に追われた。

   例えば官公庁では8月14日まで冷房の使用を禁止し、エレベーターも半分以上が停止した。KBSなど現地メディアは、30度を超えるオフィスの中で汗だくになって仕事をする職員の姿を報じていた。ソウルの最高気温は11日が33.2度、12日が32.6度で、東京ほどではないが、官公庁でエアコンなしの業務は辛い暑さだ。

   もちろん、民間への影響も大きい。例えば中央日報によると、最高気温36.6度を記録した南部の蔚山(ウルサン)の衣料品売り場で

「あれこれ試着しようする顧客に店員が『汗のために服が汚れる』と難色を示した」

といった思わぬトラブルも起こったという。

   それ以外にも、北東部の江原道(カンウォンド)の中学校では、8月12日に始業式を行ったばかりだったが、猛暑を理由に13日から休校。授業再開は週明け8月19日の見通しだ。KBSによると、ソウル市内でも11校で始業式の延期や短縮授業が決まった。大邱(テグ)、大田(テジョン)といった主要都市でも同様の動きが出ている。

政府の需要予測の甘さにも批判

   ただ、こういった形で生活への影響が出ることに、国民からは不満の声が出ているようだ。矛先が向けられているのは大きくふたつだ。

   ひとつが大企業。政府は13年5月に大手企業に対して節電要請をしていたが、これを事実上無視するケースが相次いでいたのだ。8月11日には通商産業資源部が、節電規則に違反した企業20社の社名を公表。現代(ヒョンデ)自動車、起亜(キア)自動車、LG化学といった韓国を代表する企業の名前も多数含まれている。これらの大企業の努力不足のしわ寄せが一般国民にきていることに納得がいかないと考える人も多いようだ。

   ふたつめが政府の需要予測の誤り。06年末の時点では、12年の最大需要を6712万キロワットだと予測していたが、実際はこれよりも1割多い7429万キロワットだった。そのため、「政府が電力危機を招いた」という声も出ている。

   聯合ニュースによると、8月13日の予備電力は160万キロワットに落ち込むとみられていたが、11時19分に一時的に450万キロワットを割った程度で済んだ。節電対策が奏功したとみられる。8月14日を乗り切れば、一応「峠を越えた」形にはなるが、残暑は9月中旬まで続くとみられ、なかなか電力不足は解消されそうにない。

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