少年の顔面や頭部を蹴りつけ、指を踏みつける
香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)」電子版の8月12日付記事では、映像で虐待を受けている少年は「ウイグル族と推測される」としている。ヤラン氏が実際に見た映像かどうかは不明だが、インターネット上では、ウイグル人少年をおとなたちが集団で殴る動画が見つかった。
ウイグル人の女性人権活動家で世界的に知られ、2012年に来日したラビア・カーディル氏が、その内容を解説していた。映っている少年は6、7歳のウイグル人で、髪の毛が茶色く西洋人のような風貌なので、中国人の見た目とは明らかに違う。カーディル氏によると、30人の中国人が少年を囲み、中には子を持つ母親もいたそうだ。男たちは、座り込む少年の顔面や頭部を蹴りつけ、手を引っ張って指を踏みつける。少年は泣き叫ぶが、誰も救いの手を差し伸べようとはしない。それどころか少年を威嚇したり、笑ったりしている人もいる。
なぜこうなったのか、いきさつは分からない。少年に落ち度があったのかもしれないが、抵抗できない子どもにおとなが「集団リンチ」よろしく暴行を続け、周りが誰も助けないのは正気の沙汰とは思えない。
SCMPによると、中国のソーシャルメディアではヤラン氏の発言に「もうデンマークに旅行しない」との反発がある一方、「多くの国が中国を嫌っているようだが、なぜなのか」と戸惑う声も上がったと紹介。またコペンハーゲン・ポストに寄せられた読者コメントを見ると、「ヤラン氏は人種差別主義者だ」「発言は非常に危険な兆候」との批判だけでなく、香港出身の中国人を名乗る人物は、「中国政府は金で雇った集団を(香港に)送りこんで反対派を抑えつけ、中国本土から来るやつらはトラブルばかり起こす。野蛮でごう慢、暴力的だ」と露骨に中国を批判していた。