認知症の男性が電車にはねられたのは見守りを怠ったからだとして、名古屋地裁が判決で、電車遅延などの賠償金約720万円をJR東海に支払うよう遺族に命じたと報じられた。これに対し、ネット上では疑問の声が多数出ている。
遺族への賠償命令を報じたのは、日経の2013年8月10日付記事だ。
名古屋地裁「見守りを怠った」
当時の報道では、91歳だった認知症男性は2007年12月7日夕、愛知県大府市のJR東海道線・共和駅で線路内に立ち入り、快速電車にはねられて死亡した。電車の運転士が男性を発見してブレーキをかけたが、間に合わなかったという。自殺の可能性もあるとされたが、立ち入った経緯ははっきりしていなかった。
日経の記事によると、男性はこの年2月には、常に介護が必要とされる認知症高齢者自立度4と認定されていた。これに対し、JR東海は、安全対策が不十分だったとして、妻と長男を提訴した。裁判では、妻は、当時85歳の高齢のため夫を常時監視できなかったと反論した。しかし、名古屋地裁の上田哲裁判長は13年8月9日、訴えを認めて請求全額を支払うよう2人に求める判決を言い渡した。
その理由として、上田裁判長は、同居の妻が介護ヘルパーを依頼せず、目を離したすきに男性が外出したことを指摘した。また、別居の長男も、事実上の監督者であるにもかかわらず、徘徊防止の適切な措置を取らなかったとした。男性は常に目を離さないようにしていなくてはならず、2人の過失責任は免れないというのだ。
記事がネット上でも配信されると、判決内容に次々と異論が出た。
「遺族には酷な判決だな」「介護ヘルパー24時間入れられる訳じゃないし」「別居してたら監督するの無理じゃね」
中には、駅員が男性を見逃し、立ち入り防止策もされていなかったのではないかなどと、JR東海側の過失を指摘する声も出た。
JR東海は、ネット上のこうした声についてどう考えるのか。