トヨタ自動車の2013年上半期(1~6月)の世界販売台数が、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)を抑え、2年連続で世界トップとなった。景気回復が続く北米を中心に海外販売が好調だった。
しかし、国内販売は低迷し、尖閣諸島問題が影響して中国も不調だった。GMやVWが差を詰めてきており、トヨタが2年連続で年間の世界販売トップを維持できるかは予断を許さない状況となっている。
海外販売が堅調
トヨタのダイハツ工業と日野自動車を含めたグループ販売台数は前年同期から1.2%減の約491万台だった。過去最高だった2012年の約497万台には届かなかったものの、過去2番目の高い水準だった。
これに対し、GMとVWが猛追し、GMは3.9%増の約485万台、VWも5.5%増の約470万台と伸ばした。
トヨタは海外販売が堅調で2.4%増の約374万台で過去最高となった。北米で中型セダン「アバロン」などの新型車が伸びて5.4%増の約121万台となったほか、インドネシアなどでも新興国向け戦略車「IMV」シリーズが好調だった。
しかし、国内はエコカー補助金が終わった反動で11.3%減の約117万台と大きく落ち込んだ。さらに尖閣諸島問題の影響で中国が5.8%減の約42万台、景気回復が遅れている欧州も5.3%減の約40万台にとどまり低調だった。
中国市場の動向がカギ
一方、GMは地元の北米が7.7%増の約164万台と順調だったほか、日本メーカーが失速する中国でも11%増と存在感を示した。VWは欧州で減らしたが、中国の18.7%増が販売増に大きく貢献した。GMとVWの追い上げが激しく、トヨタが2年連続で年間の世界販売首位を死守できるかは見通せない状況となっている。
ただ、トヨタは2013年8月2日の2013年4~6月期連結決算発表会見で、円安影響に伴って2013年の世界生産台数を当初計画の994万台から1012万台に上方修正した。北米市場がさらに上向き、販売台数の上積みが期待できるうえ、国内の販売落ち込みにも歯止めがかかりつつあるからだ。
下半期に向け、明るい材料も出始めている。しかし、業界では「海外ライバルメーカーが好調な中国で、どう復調できるかが首位争いの最大のカギ」(関係者)という見方に変わりはない。9月には尖閣国有化から1年が経過する。中国での反日感情の高まりから日本製品の不買などに発展すれば、トヨタの首位転落にもつながりかねず、中国市場の動向が注目される。