新聞が書かない日中の共同世論調査の中身 日本のメディア「客観的で公平」はわずか25%

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   日本のメディアはまったく信用されていない――。「言論NPO」が実施した日中の共同世論調査によると、日本のメディアが日中関係の報道について、「客観的で公平な報道をしている」とみている日本人は2割強に過ぎないことがわかった。

   逆に、中国では8割超の中国人が自国のメディア報道が「客観的で公平」と思っている。日本人の「メディアの報道を鵜呑みにはしない」という姿勢は評価されていいが、この数字は日本のメディアにとっては見過ごせない。

メディア「信用している」中国84.5%に大幅増

   言論NPOが2005年から毎年実施している、中国国営の中国日報社との日中共同世論調査は、2013年6月~7月上旬に18歳以上の男女計2540人(日本1000人、中国1540人)が回答。8月5日に結果を公表した。

   それによると、「自国のメディア報道は客観的か」の問いに、日本人は25.4%が「客観的で公平な報道をしていると思う」と回答。「客観的で公平な報道をしているとは思わない」が25.1%、「どちらともいえない」が36.3%、「わからない」が13.1%だった。

   これに対して中国人の回答は、「客観的で公平な報道をしていると思う」と答えた人がじつに84.5%もいた。「客観的で公平とは思わない」という人は7.5%。「わからない」(回答拒否を含む)は8.0%だった。

   この結果について、言論NPOの工藤泰志代表は「日本のメディア関係者にとってはショックかもしれませんが、日本の社会としては健全なことだと思いますよ」と話す。

   国内メディアの日中報道について、「客観的で公平」と思う日本人は約25%だが、「毎年このくらい」という。

   むしろ、問題は中国。中国人は84.5%が自国メディアの日中報道を「客観的で公平」と判断しており、前年の64.4%から20.1ポイントと大幅に増えた。

   もともと言論の自由がない、「官製メディア」の中国にあっても、「毎年約25%の人が客観的で公平性に欠けると思っていました。それが今年は『わからない』とあわせても16%程度の人しか、そう思わなくなったわけです」と、工藤氏は指摘。中国の報道をほとんどの中国人が信じているわけで、これでは対日感情が悪化するのも無理はない。

   工藤氏は、「過激といわれるネット報道でも、前年までは冷静な目をもった学生有識者がいたのですが、そういった学生も減り、いまやメディアと国民のナショナリズムが一体化してしまう、危うい状況にあります」と、懸念している。

日本人は「好戦的で信用できず、利己的」

   一方、沖縄県・尖閣諸島問題をきっかけに、日中両国の印象は大きく変わった。現在の日中関係を「悪い」と判断する日本人は79.7%、中国人は90.3%で、いずれも2012年から大幅に悪化し、過去9年の調査で最悪の水準となった。

   中国に対して「よくない印象」(「どちらかといえばよくない印象」を含む)をもつ日本人は90.1%(前年は84.3%)。中国人の日本に対する「よくない印象」は92.8%と、いずれも9割を超えた。なかでも、中国人の「日本に対する印象」は2012年の64.5%から28ポイントも悪化した。

   中国人がみた日本の印象で最も多かったのは、「覇権主義」で、前年の35.1%から48.9%に大きく増加。また、「軍国主義」とみている人も41.9%いた。日本を「平和主義」の国とみる中国人は、6.9%しかいない。

   さらには中国人の7割が、日本人を「好戦的で信用できず、利己的」とみているほか、半数以上が「怠慢で、頑固で不正直で非協調的」などと思っている。

   こうした言論NPOの調査結果は、2013年8月5日付の毎日新聞と朝日新聞が報じた。ただ、そこでは「現在の日中関係についてどう思うか」「日本の首相が靖国神社へ参拝することについてどう思うか」などの質問への回答はあるが、日本のメディアには都合が悪かったのだろうか、「自国のメディア報道は客観的か」の問いについては一切報じなかった。

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