朝日新聞なぜOK?「韓国起源説」まで… 韓国「旭日旗追放運動」は首尾一貫していない

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「旭日旗を韓国が問題視するなんてことは、昔は全然ありませんでした。日章旗ならまだありましたが……すべて、この2年ほどの話です」

   1980年代、韓国で時事通信ソウル特派員を務めた評論家・室谷克実氏はため息をつく。

   韓国が近年旭日旗を「日本戦犯旗」と称し、国際的な「追放運動」を激化させている。旭日旗はアジア侵略の象徴であり、ナチス・ドイツのハーケンクロイツと同類――しかし無関係のデザインを「旭日旗だ!」と攻撃するなど、その主張はいささか常軌を逸している。ただ、中には朝日新聞社の社旗や統一教会旗など「例外」もあるようで……。

旭日旗そっくりの「マケドニア」とばっちり

上から日本のいわゆる「旭日旗」、チベットの国旗、マケドニアの国旗。よく似ていることがわかる
上から日本のいわゆる「旭日旗」、チベットの国旗、マケドニアの国旗。よく似ていることがわかる

   太陽の輝きをモチーフとした旭日旗には、世界中に類似した意匠が存在している。たとえば国旗では、マケドニアやチベットなどが旭日旗によく似たデザインとして有名だ。ちなみに少し前の韓国ネット上では、

「旭日旗は朝鮮半島・伽耶国の貴族が日本に持ち込んだ『太陽旗』が起源」

という「旭日旗韓国起源説」が囁かれていたが、これもその分布の広さゆえだろうか。

   特にマケドニア国旗は色が赤地に黄、模様も中央の円から8条の光線が広がるというもので、日本の旭日旗とかなり近い。ところがおかげで、「とばっちり」もあるようだ。

   2012年11月、サッカーの観客席の写真に写った「戦犯旗」が韓国ネットの一部で騒ぎになったことがあった。おのれ日本め、またやったのか――ところが、写真をよく見ればこれはマケドニア国旗だ。これはさすがに気づいた人が勘違いを指摘したが、韓国ネットユーザーの中にはマケドニア国旗に対し「それでも、やはりいい気はしない」と感想を漏らす人もある。さらに冗談か本気か判別しがたいが、マケドニア国旗の写真と政府サイトのURLを掲載し、「マケドニアの旭日旗使用に抗議しよう!」と訴えるサイトまで存在する。

   マケドニアに限らず、韓国では少しでも旭日旗を思わせるデザインを使えば、大企業やK-POPスターであってもたちまち総攻撃に遭う状況だ。もはや「旭日旗タブー」とさえ言っていい。

海外企業への抗議成功で「これは効くぞ!」

旭日旗は日本の「反韓デモ」などでも使われることがある(3月31日撮影)
旭日旗は日本の「反韓デモ」などでも使われることがある(3月31日撮影)

   しかし冒頭に登場した室谷氏によれば、旭日旗が韓国から注目を集めるようになったのは2011年1月、サッカー日韓戦で日本人を侮蔑するパフォーマンスを行って批判を受けた韓国代表・奇誠庸選手が「観客席にあった旭日旗への報復」が理由だと弁解したことが始まりだという。その後、2012年8月、ロンドン五輪でサッカー韓国代表・朴鍾佑選手が竹島領有権のアピールを行い糾弾されたときにも、「体操日本代表のユニホームが旭日旗に似ており、こちらこそ問題」と韓国側は主張した。

「これらの主張は海外では相手にされなかったんですが、韓国内では受けた。その後、韓国人による抗議で海外メーカーの旭日旗風デザインなどを撤回させたことで、日本をおとしめる手段として『これは効くぞ』となったわけです」(室谷氏)

   7月28日、サッカー日韓戦をめぐり起こった「旭日旗騒動」でも、韓国外務省報道官が「旭日旗が韓国国民と、過去の日本帝国主義の被害を受けた人々にどのような意味を持つものか、日本はよくわかっているのではないか」と述べるなど、旭日旗「追放」の動きはもはや公然のものとなっている。

日本政府も、旭日旗の使用は問題ないとする政府見解をまとめる方針

統一教会のシンボルマーク。「旭日旗風」の意匠がはっきり描かれている
統一教会のシンボルマーク。「旭日旗風」の意匠がはっきり描かれている

   ところが、そんな中でなぜか「叩かれない旭日旗」がある。1つは朝日新聞だ。

「朝日新聞が叩かれたという話は聞きませんね。なにせ、韓国では『日本の良識的な報道機関』と認識されていますから」(室谷氏)

   もう1つは、韓国で多くの信者を持つ宗教団体「統一教会」だ。こちらも、ロゴマークなど紛れもなく「旭日旗」にそっくりなのだが……。韓国内でもこうした「矛盾」に悩む人もあるようで、あるブログでは、

「朝日新聞は反日扇動に必要だから放置、統一教会は触れにくいから放置……これが『反日』の実態だ」

と吐き捨てるように記されている。

   なおこうした韓国側の動きに対応すべく日本政府も、旭日旗の使用は問題ないとする政府見解をまとめる方針と報じられている。前述の室谷氏はこれに加え、韓国側が積極的に働きかけを行いつつあるユダヤ人系団体にアプローチするなどし、国際世論を味方につけることが「旭日旗追放」の流れを防ぐためには重要、と話した。

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