松井秀喜氏とJALの「10年愛」継続中 苦境の「パートナー」に送ったメッセージ忘れない

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「松井さんは特別な、代えがたい存在」

   2010年1月、JALは会社更生法を申請して経営破たんした。世間から厳しい批判が浴びせられ、再建に大ナタが振るわれていたとき、松井氏はJAL社員を励まそうとメッセージを送った。

   すでに大リーグで誰もが認める実績を積んでいた松井氏。この年はロサンゼルス・エンゼルスに移籍して大リーグ通算150本塁打を達成した。ヤンキース時代の2009年にはワールドシリーズ制覇、MVP獲得と栄光に包まれた。だがメッセージの中では「平坦な道ではなかった」と振り返る。大リーグでは新人からのスタート、言葉の壁に膝のけがやスランプにも見舞われた。だが「そんな時も、僕は一人ではなかった。何十万人、何百万人もの日本のファンがいつもいてくれた」と、心強い応援に感謝する。そのうえでJALに向けてこんな言葉を贈った。

「JALもけっして忘れないでほしいと思う。JALを応援する人が、ここにいることを」

   「命をかける」とまでの覚悟を示して渡米した2003年、不安もある中でスポンサーとしてバックアップを約束してくれたJALの苦境を見過ごすわけにはいかなかったのだろう。メッセージは社内で回覧され、後に機内誌にも掲載されたという。

   2012年、松井氏はタンパベイ・レイズに移籍する。現役最後となるチームでの成績は芳しくなかった。すると今度はJALの社員1400人が松井氏を励まそうと手紙を書き、同社のニューヨーク支店長が試合のためニューヨークに来ていた松井氏を訪ね、渡したという。

   2年間のキャラクター契約はとうの昔に切れている。それでも松井氏は、今もJALに乗り続けている。JALの広報担当者はこう口にした。

「松井さんはJALにとって特別な、代えがたい存在です」。
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