週末明けの月曜日夕刻、米マスコミに衝撃波が走った。世界最大の通販サイトAmazon.comの創業者でCEOを務めるジェフ・ベゾスが米国を代表する有力紙「ワシントン・ポスト」紙を個人で買収すると発表されたからだ。買収額は2億5000万ドル(約250億円)だが、ワシントン市内にある同紙本社ビルは含まれていない。
ワシントン市内の同紙本社の講堂に集まった社員を前に、親会社ワシントン・ポスト・カンパニーのドナルド・グラハム会長はまさかと思われた決断の背景をこう説明した。
デジタルはデジタルネイティブにまかせろという当然の結論に至る
新聞業界が回答のないチャレンジに直面するなかで、公開会社という会社形態がワシントン・ポスト紙にとってベストなのかどうかが疑問であった。さまざまなイノベーションを実行してきたが、減収を補うことは出来ず、収益は7年連続で下降線をたどった。
「我々の解決策は経費削減しかなかったが、それにも限界があることは十分承知していた。それでも潰れることはないだろうと確信していた。問題は生き延びるだけでは十分ではないことだ」
デジタル時代の新聞はどうあるべきかという問いへの答えが求められているなかで、グラハム会長はサジを投げてしまったわけだ。活字に愛着を覚える世代にとって所詮デジタルは異国の地である。デジタルはデジタルネイティブにまかせろという当然の結論に至り、その延長線上に個人的にも親しいベゾスが浮上してきたのであろう。