国内最大の太陽電池の展示会「PVJapan2013」が2013年7月下旬、東京ビッグサイトで開催された。昨年7月に再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が導入されて1年。日本は今年にも世界一の市場になることが予想されているとあって、成長市場の需要獲得を狙い、中国をはじめとする海外メーカーも含めた約190社・団体が参加し、自慢の技術を披露した。
海外からも30社近くが参加
買い取り制度がスタートして以降、国内の太陽電池出荷量は順調に伸びている。2011年度の140万キロワットが2012年度には約2.7倍の380万キロワットへと拡大。さらに米調査会社IHSは、今年は日本がドイツを抜いて世界トップに踊り出ると予想する。
展示会には海外メーカーも30社近くが参加したが、その中心となったのが中国メーカーだ。これまでは欧州市場に力を入れてきたが、「日本市場の将来性に期待できる」(中国メーカー)と日本進出を決断。価格競争力を武器に日本メーカーとの顧客獲得競争に挑む。
一方、迎え撃つ側の日本メーカーは薄型化などの付加価値の高い太陽電池の開発に注力。蓄電池と組み合わせた効率的な発電システムや関連機器などの投入で対抗する。その中でも、ひときわ注目を集めたのが、シャープの掃除ロボットだ。大規模太陽光発電所(メガソーラー)の太陽電池の表面を掃除するロボットだが、汚れがあると発電効率や寿命の低下につながるため、業界では掃除をどう効率的に行うかが課題となっていた。今は人力での掃除だが手間もコストもかかるため、シャープはロボットを開発し、来年にも発売する予定だ。
日本市場は「バブルに過ぎない」という見方も
薄くて軽量で住宅の屋根に設置しやすい製品、太陽光を反射しにくい製品といった従来の発電効率優先とは異なる付加価値の高い太陽電池が数多く出展されたのも今回の特徴。太陽電池と蓄電池をつなぎ合わせ、発電した電力を効率的に自家消費できるシステムも紹介された。
ただ、業界には日本市場に対し、「バブルに過ぎない」(大手メーカー)との見方もある。中国など海外メーカーが日本市場を目指すのも、買い取り価格の引き下げで需要が急減した欧州に見切りをつけたからだ。日本でも2015年には買い取り価格が引き下げられる予定で、需要の鈍化が懸念されている。
今回の展示会で注目された高付加価値の太陽電池や、掃除ロボットなど関連機器も、2015年以降を見据えた動きといえる。日本メーカーは「海外勢にない高い技術力で付加価値を高め、保守システムを強化して生き残りを狙っている」(大手エネルギー)が、先行きは不透明だ。