サッカー日韓戦「横断幕」をめぐる騒動は、1週間が経過したにもかかわらず幕引きの気配を見せない。
注目されているのは、韓国側が「事の発端」と主張する旭日旗を持ち込んだ日本側サポーターの男性だ。当初はネット上だけの騒ぎだったが、2013年8月4日には男性との関係が指摘されたJリーグの横浜F・マリノス(横浜FM)が「男性は『出禁』にしており無関係だ」と声明を出す異例の事態にも発展した。
クラブの試合は「3年前に出入り禁止にしている」
この男性は7月28日、韓国・ソウルで行われた東アジア杯日韓戦に一サポーターとして参加、試合開始の前後に観客席で大型の旭日旗を広げた。試合では韓国側の公式応援団が「歴史を忘れた民族に未来はない」などと政治的な横断幕を掲げており、追及された韓国サッカー協会が、「日本側が旭日旗を先に持ち出したのが原因」などと抗弁したため、男性の素性に一躍関心が集まることとなった。
この「旭日旗男」は何者なのか。当人がツイッターでこの問題に言及していることなどもあり、ある程度詳しいことがわかっている。元々は横浜FMのサポーターとして長らく活動しており、手製の大型応援旗を振るパフォーマンスで、ファンの間ではよく知られた「名物男」だったようだ。日韓戦当日も横浜FMのユニホームを着ており、ツイッターなどでは騒動当初から、旗の作りからすぐに男性だとわかった、といった声、あるいは逆にこんな騒動を男性が引き起こすとは――と驚く声が飛び交っていた。
男性が横浜FMの「有名ファン」だったことがわかると、チーム側にも問い合わせが相次いだ。そのため横浜FMは8月4日、男性について以下のような声明を発表した。
「東アジアカップ韓国戦での出来事について、弊クラブ宛に多数お問い合わせをいただいておりますが、対象とされる人物は、3年前、Jリーグの試合において『スタジアム内』で起こした事件により、既に弊クラブの試合に関しては無期限入場禁止処分を科しており、今も処分は解いておりません」
当時の発表などによると、男性は2010年、応援中に興奮のあまりか警備員を殴る騒ぎを起こし、横浜FM関連の試合に無期限の「出入り禁止」を受けていたことが確認できる。チームとしてはこの「出禁」を根拠に、あくまで「無関係」を強調した格好だ。
「しばき隊」メンバー説、自作自演説を否定
一方で男性には主にネット上で、多くの非難の声が寄せられた。わざわざ旭日旗を出したことで韓国側に「口実」を与えてしまったとするもの、あるいは男性を強硬な反ヘイトスピーチ団体「レイシストをしばき隊」の一員だと決め付け、旭日旗を掲げたことを韓国側と組んでの「自作自演」とするものなどだ。
対して男性はツイッターなどで「しばき隊」関係者との交友関係やデモへの参加経験は認めつつ、「しばき隊」メンバー説、さらには自作自演説を否定している。男性は旭日旗を掲げた理由を、以前からの韓国応援団による「安重根横断幕」に代表される挑発的な行為への「報復」だったと語り、
「旭日旗が韓国人にとって恐怖の対象であることは理解できる。だが同時に、日本人にとっては現在の平和な国の象徴だということも指摘しなければアンフェアではないか」
「まぁ古いオッサン世代が旭日旗をネタに日韓でガチャガチャやりたがるのは仕方ないのかもな。だが、オラ達ニュージェネレーションは、韓国で旭日旗を振ることが可能な平和な時代を達成するのが目標だ」
と主張した。またNEWSポストセブンに3日掲載されたインタビューでは、自らの応援が間接的にでも日本チームの勝利に貢献したのでは、と胸を張ってみせている。
なお、韓国側は依然として「旭日旗が発端」とする姿勢を崩しておらず、日韓の主張は依然として平行線をたどっている。