1度発売された洋画のDVD・ブルーレイが、邦題を変更して発売し直し―こんな「珍事件」が起こった。
邦題が変わるのは、2006年に発売された「バス男」という米国の映画。「日本一最低の邦題」との呼び声が高かった作品だ。
「面白いけど邦題が最悪」「手抜き邦画タイトル」と酷評
「バス男」のジャケット写真。「キター!」という言葉が電車男を連想させる
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
「バス男」の原題は「Napoleon Dynamite(ナポレオン・ダイナマイト)」で、2004年に米国で公開された。「田舎のダサくて冴えない高校生」の友情を描いたコメディーだ。当初はミニシアターで公開されていたが口コミで人気を呼び、全米公開のヒット作となった。
この映画が06年1月、日本に上陸した。20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンからDVDが発売されたが、タイトルは、当時流行していた「電車男」にあやかって付けられた「バス男」だった。
しかし「バス男」と「電車男」の共通点は主人公がオタクであることくらいで、「バス」が物語のカギを握るというような話でもない。映画ファンからは「何でこんな邦題にしたんだ!」と怒りの声が上がった。
Amazonのレビュー欄を見てみると、「本当に面白い映画!でも邦題が最悪です。電車男の要素なんて皆無なのにブームに便乗しないで欲しいです」「バス男というネーミングは作品とも全く関連性が無い上、電車男の二番煎じのような間違った印象を受けてしまう為、凄く失敗していると思います」「たまたまこの映画が日本に入ってきたときに流行ってた『電車男』を文字って付けられた愛のない手抜き邦画タイトルです」など、「作品はいいのに邦題が…」という感想が多数書き込まれている。
発売後の改題は「ジェダイの帰還」以来
10月に改めて発売される「ナポレオン・ダイナマイト」
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
そんな「バス男」の発売から約7年半経った13年8月2日、20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンがツイッターで重大発表をした。
「日本一最低な邦題と映画ファンを失望させた『バス男』が新しい邦題で再出発!『ナポレオン・ダイナマイト』ブルーレイ&DVD、邦題もジャケットもレーベルもリニューアルして10/2発売!時代に便乗してこんな邦題をつけてしまい大変申し訳ございませんでした」
これに対し、映画ファンからは「おめでたい!」「良かった、いい映画だけに。本当に良かった」「やっぱりこの題じゃなきゃ!」など、歓喜のリプライが寄せられた。一方、「そう嫌いな邦題でもありませんでしたが。。。」「それはそれとして好きな邦題でした(笑)」といったリプライもあり、残念に感じている人もいるようだ。
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンによると、会社あてに直接「邦題を変えてくれ」というような問い合わせが多く寄せられたというわけではないが、発売当時インターネットで批判の声が上がっていたのは把握していた。「バス男」を製作・配給した「フォックス・サーチライト・ピクチャーズ」というレーベルが14年で20周年という節目を迎えるのにあわせ、ファンの意見を汲むかたちで改題に踏み切ったという。
ちなみに、これまで20世紀フォックスがDVDを発売した後に邦題を変えた例は、1983年公開の「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」がある。脚本のジョージ・ルーカス氏が当初「Revenge of the Jedi(ジェダイの復讐)」というサブタイトルにしていたが、公開直前に「Return of the Jedi(ジェダイの帰還)」に変更した。日本では「ジェダイの復讐」で公開し、そのタイトルでビデオも発売されたが、日本のファンから「改題を」との声が高まり、04年発売のDVDから「ジェダイの帰還」に改題された。