遺族感情などで保存か否かで意見が割れる例は多い
「ダークツーリズム」は、決して目新しいものではない。AFP通信のBBNewsは4月、ダークツーリズムの「訪問8選」として、ポーランドのアウシュビッツ(ユダヤ人強制収容所跡)、カンボジア・プノンペン近郊の虐殺記念館(ポル・ポト派による大量虐殺の記録)、広島平和記念資料館などを紹介している。日本では、日航機事故の記念碑や事故機の残骸があり、最近の例では、中央高速道路の笹子トンネル崩落事故で5人が死亡した被害車両の保存が決まった(詳細は未定)。
だが、東日本大震災でも遺族感情などで意見が割れる例は多い。岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」のように比較的反対が少なく、再生・保存され、地元住民に復興のシンボルとして勇気を与えている例もあるが、宮城県南三陸町の旧防災対策庁舎、気仙沼市の町中に打ち上げられた大型漁船、石巻市の全焼した旧門脇小学校校舎など、行政、住民、所有者らの意見がまとまらず、方針が決まっていないものも多い。