参院選で大勝したはずの安倍晋三内閣の支持率が下落傾向に転じる一方、野党の支持率もぱっとしない。特に、惨敗した民主党への信任は戻る気配が全くなく、世論調査によっては、支持率が共産党にすら抜かれるケースも出始めた。海江田万里代表はショックを受けたのか、「そのとおり受け止める」と反論しなかった。
参院選後にメディア各社が行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は軒並み低下傾向だ。例えば日本テレビ(NNN)では前回6月調査比6.8ポイント減の53.3%、日経新聞とテレビ東京の合同調査では3ポイント減の63%。
ただし、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が7月27日と28日に行った調査は多少傾向が違い、前回調査(7月13、14日)比1.7ポイント増の57.8%と多少持ち直している。この産経・FNN調査で特徴的なのが、政党支持率だ。自民党は3.0ポイント増の42.7%と「一人勝ち」なのは相変わらずで、次に支持率が高い日本維新の会は8.0%にとどまった。
これまでにも維新に抜かれることはあった
世論調査の結果に海江田氏は「そのとおり受け止める」(写真は2013年6月のマニフェスト発表会見)
民主党の支持率は5.4%で、参院選で議席を増やした共産党が5.5%だった。これまでも維新の会の支持率が民主党を上回ることはあったが、共産党が民主党を上回るのは珍しい。
民主党の海江田万里代表は7月29日の記者会見でこの点についてコメントを求められたが、
「これは、そのとおり受け止める」
と応じるのがやっとだった。
この産経・FNN調査では、自民党が大勝した理由として76.7%が「野党に魅力がないから」と答えている。相変わらず民主党への信頼が回復していないことを表す結果だが、海江田氏は
「それは、国民のそういう声だろうと思う。もっと魅力のある野党にしなければいけないわけだから、色んな意味で民主党が頑張らないといけないというふうにつくづく思っている」
と、はっきりとした方向性を示せないままだった。
ネット選挙への評価「若者と政治、選挙を近づけた」
今回初めて解禁されたインターネットを活用した選挙運動への評価を求められても、
「若者と政治、あるいは選挙を近づけたということで意味があったと思う。その他の点については、もう少し詳しい中身をみてみないと分からず、今どうこうということは申し上げない」
と詳細は先送りにした。
それ以外に、海江田氏は、
「まだ『刀折れ、矢尽きて』いないという認識」
「毎日、屈辱の中で息をしている」
「あいまいなことにひとつの方向性を出していかないといけないと思っている」
と今後の党再建に向けた決意も口にしていた。
民主党では、細野豪志幹事長が参院選惨敗の責任を取る形で辞任したが、海江田氏は続投を表明している。だが、党再建や野党再編に向けた明確なメッセージが発信できているとは到底言えず、今後「海江田おろし」が加速する可能性もある。