サッカー東アジア杯の男子日韓戦で、日本側の応援席から一時、旭日旗が掲げられたことについて、韓国メディアが国際サッカー連盟(FIFA)の規定違反の可能性が大きいと報じた。そんな証拠はどこにあるのだろうか。
「歴史を忘れた民族に未来はない」。韓国・ソウルで2013年7月28日夜に行われた日韓戦では、韓国側の応援席にこんな韓国語の横断幕が長さ約40メートルにもわたって張り出され、物議を醸した。
U-20女子W杯でも、係員が旭日旗を制止
日本のスポーツ紙各紙では、応援での政治的主張を禁じたFIFAの規定違反に当たる疑いが指摘されている。
これに対し、韓国メディアでは、旭日旗応援について、日本が第2次大戦で使った戦争犯罪の旗であり、韓国では怒りの声が上がっているとしており、聯合ニュースは、「FIFAの規定違反の可能性が大きい」と踏み込んで報じた。
旭日旗を巡っては、U-20女子ワールドカップの12年8月30日の日韓戦で、日本側の応援席で旭日旗を掲げようとした観客が係員に制止される騒ぎがあった。
報道によると、FIFAから事前に旭日旗を「応援席に出させない方がいい」と日本サッカー協会に連絡があり、協会では、旗を見かけたらサポーターにしまうよう声をかけることを警備員に指示していた。実際に、制止した係員も、「FIFAの判断によって、掲示することをご遠慮いただいているということなんですよ」などと観客に説明していた。
今回の日韓戦でも、試合開始時に日本側応援席で一部サポーターが旭日旗を掲げると、係員に制止されて3分ほどで旗を降ろしたと報じられている。
とすると、旭日旗応援は、FIFAの規定違反になってしまったのか。
日本サッカー協会の広報部に取材しようとしたが、協会が夏季休暇中で話を聞くことができなかった。
日本サッカー協会は、韓国側の横断幕で抗議
韓国メディアでは、韓国側の応援席に前出の横断幕が掲げられたのは、日本側が旭日旗を掲げたことがきっかけだとも報じている。
フジテレビ系で中継された日韓戦を見ると、確かに、前半開始から1分弱のところで、日本側の2階席で旭日旗を掲げる姿が映っていた。とはいえ、試合開始直前に韓国側が国歌を歌うシーンで、応援席が映し出されると、横断幕らしきものを張り出しかけるところがあった。歌い終わった後には、初代韓国統監の伊藤博文を暗殺した安重根とみられる肖像画を掲げるサポーターもいたのだ。
韓国側が前出の横断幕を掲げたのは、旭日旗を掲げる前か後かはっきりしないままだ。
なお、横断幕については、日本サッカー協会は2013年7月29日、主催の東アジアサッカー連盟に抗議文を出したと報じられた。菅義偉官房長官も、この日の会見で「極めて遺憾だ」と述べている。しかし、韓国の聯合ニュースによると、大韓サッカー協会は、特に対応する計画はないと明らかにした。
これに対し、日本のネット上では、「一度違反してFIFAが甘い裁定を下したから調子に乗ってきた」「厳罰に処すべし」といった声が相次いでいる。