米国は「どんぶり勘定」が許せない?
サード・ポイントを率いる投資家のダニエル・S・ローブ氏は、2012年3月にヤフー株を約5.8%保有し、自身を含む4人の取締役候補の選任を要求したが、ヤフーがこれを拒否。対立した当時のスコット・トンプソンCEOの学歴詐称を暴いて辞任に追い込んだことで、日本でも知れるところとなった。
そんなローブ氏が、いわばソニーに狙いをつけたというわけだ。
ソニーは低迷する本業のエレクトロニクス事業を、金融とエンターテイメント事業で懸命に支えているのが現状。そこからエンタメを切り離したら、再び赤字に戻ってしまう。
じつはソニーでもエンタメ事業の分社化を検討したことがあって、そのときは「相乗効果がなくなる」と見送った経緯がある。サード・ポイントはその考え方が「違う」というのだ。
また、同社の提案によると、エレクトロニクス事業もエンタメ事業も平井社長がトップに就くことを提案していて、「シナジー効果は保てる」という。
国際金融アナリストの小田切尚登氏は、「エンタメ事業を、米ディズニーやタイムワーナーと比べると、ソニーは明らかに(収益力が)落ちます。サード・ポイントにすれば、IPOによって責任を明確化し、インセンティブを働かせて経営改善を進めようというのでしょう。日本では稼ぎ頭を分社化すると、不採算部門のリストラは不可避と考えます。古くから『総合的』とか、『どんぶり勘定』の考え方が根強いですが、米国ではそのような考え方を許しません」と、話している。
2013年7月23日には、サード・ポイントがヤフー株を売却してソニー株を買い増すとの観測が広がり、ソニー株が一時2300円台を回復する場面(終値は前日比76円高の2295円)があった。