「候補者の名前を書いた投票用紙の筆跡が、どれも似ている」。参院選で開票の様子を録り、こんな疑問を持ったとする動画がユーチューブに投稿され、なぜなのかと話題になっている。
「投票用紙の筆跡が似ているような気がする動画」。ユーチューブでは、こんなタイトルで投開票日の2013年7月21日に投稿された。
病院や老人ホームで代理投票した可能性
5分ほどの動画を見ると、開票所のスタッフとみられる人が、候補の名前が書かれた投票用紙をその候補ごとに積み上げていく様子が撮られている。投稿者は、開票所の観覧席にいたとしており、もしその説明通りなら、デジカメの望遠レンズで録画したことになるようだ。
動画では、2人の候補について録っており、それぞれ数十枚の筆跡について、「こんなに似た様な字があるか?」と疑問を投げかけていた。
この動画は、ネット上で話題になって、26日夕までに7万人ほどが視聴している。筆跡については、「同じ人が書いたとしか思えないw」「さすがにこれで筆跡が同じとは言えんだろ」などと様々な意見が出ていた。
もし同じ筆跡だとすると、どんなケースが考えられるのか。総務省の選挙部管理課では、2つのケースがありうると取材に答えた。
まず、病院や老人ホームなどの施設で不在者投票を行う場合だ。
公選法では、字が書けない入所者について、施設職員らの選挙事務従事者が本人に立ち会って代理投票をすることができる。そのとき、同じ候補を選ぶ入所者がいれば、同じ職員が本人に聞いて書くので、筆跡が同じになるとした。
また、選挙当日の投票所でも、字が書けない人については、スタッフが立ち会って代理投票することになっている。その場合も、同様に筆跡が同じになることがあるというわけだ。
施設が無断で候補の名前を書く問題点も
ただ、病院や老人ホームではこれまで、施設側が入所者に無断で候補の名前を投票用紙に書いてしまうといった問題点が指摘されていた。
2013年6月30日施行の改正公選法では、成年後見人が付いた認知症患者らも投票できるようになったのに合わせ、第3者となる外部立会人を配置する努力義務が施設側に課せられた。今回の参院選では、外部立会人を用意する自治体が出ているが、人出不足もあって、まだすべての施設に行き渡っていないのが現状だと報じられている。
とすると、施設が候補の名前を無断で書いてしまう可能性もまだ残っていることになる。
しかし、似た筆跡とする動画については、たまたま同じ候補を選んだ入所者が多かった可能性などもあり、真相は分からないままだ。