「投票行ってきました。小学生は、一緒に会場に入れないと言われました。外で待たせて下さいと言われました…。一人で待たせるの不安ですよね?」
人気ロックバンド・GLAYのボーカルTERUさん(42)がツイッターでこんな疑問を投げかけ、議論を呼んでいる。
夏野剛「これはつまり子連れは投票するなってことか?」
TERUさんがツイートしたのは、第23回参議院議員選挙の投開票のおこなわれた2013年7月21日だ。この日、投票所への子ども連れでの入場を断られた人は多かったらしく「うちの7歳娘も入れなかった」など、同様の報告が相次いだ。なかでも夏野剛・慶應大特別招聘教授はこう怒りを爆発させた。
「昨日家族揃って投票所へ行ったら9歳と5歳の子どもは中に入らないでくれと言われた。仕方なく外で待たせたけれど、子どもから目を離せということか。もしもうちょっと小さい子だったら間違いなく投票しないで帰っただろう。 これはつまり子連れは投票するなってことか?」
「小学生以上の年齢のお子様の投票所への入場はご遠慮ください」――ツイートを裏書するように、東京の杉並区選挙管理委員会が配布した選挙公報にはこんな断りがされていた。
一方、仙台や神戸、埼玉県川口市など全国各地からは「子連れでも投票できた」とするツイートも確認できる。なかには「うちの投票所(子どもの通う小学校)はついてくると子供に風船くれます。みんなそうだと思ってました。場内はジブリアニメの曲がずっとかかってます。子どもが入れないところもあるのですね・・・」「私の投票所の小学校ではキッズは風船とか、文房具のちょっとしたのがもらえますよ♪」といった子連れに配慮した対応の報告も。
どうやら、子連れで投票できるかは地域や投票所によって異なるらしい。
TERU「ルールが厳しくなればなるほど、若い世代の投票率が悪くなるのでは」
なぜこうも対応が分かれるのか。東京都選挙管理委員会(都選管)は一般論として「子連れの投票が禁止されているわけではない」と話す。公職選挙法(公選法)第58条は、投票所に入れる人間を「選挙人、投票所の事務に従事する者、投票所を監視する職権を有する者又は当該警察官」と定め、例外として「選挙人の同伴する幼児その他の選挙人とともに投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者として投票管理者が認めたもの」としている。つまり、この「幼児」をどこまでと捉えるのかが主な問題となるわけだ。
「社会通念上ということになるので具体的な定義はありませんが、小学校低学年以下くらいでしょうか。お子さんにもよりますが小学校中・高学年になってくると、さすがに幼児とは……。ただ、判断は各投票所におかれた投票管理者にゆだねられていますので、常識的によほどということがなければ、大目に見るケースが多いでしょうね」(都選管)
そもそも第58条の規定は、第三者が投票所に出入りすることによって、選挙人の投票に心理的な圧迫が加えられるおそれがあることや、投票の秘密の保持、投票所の秩序の維持等の観点から設けられている。
この趣旨を考えると、一部投票所の対応は杓子定規な感じがする。「子連れの方が投票率上がるし、子も投票するのが当然と思って育つやろ」「投票率を上げるためには子連れダメなんてあり得ないよ」――ネットでは、こんな見方も複数出た。若年投票率の低下が指摘される中、今回の参院選投票率は52.61%と戦後3番目の低さを記録。TERUさんも冒頭のツイートに併せ懸念を示す。
「投票する時のルールが厳しくなればなるほど、若い世代の投票率が悪くなるのではないか?と懸念してしまうのは、僕だけでしょうか?」