桐光学園・松井裕樹が予選敗退の大波乱 プロ野球スカウトの「本音」は意外にも・・・

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   現在の高校野球でもっとも注目されている投手といえば神奈川・桐光学園のエース松井裕樹投手。2012年夏の甲子園で1試合22奪三振という新記録を樹立するなど、その名を全国に知らしめた「ドクターK」だったが、2013年7月25日、県大会の準々決勝で横浜に惜敗。高校最後の夏が終わった。その波紋は大きい。

試合巧者の強豪、横浜に研究され…

   松井は2本のホームランで負けた。1点リードして迎えた7回に逆転2ランを浴び、そのまま2-3で終わった。試合後は号泣、報道陣は敗戦の言葉を聞くのも気の毒だったという。

「ホームランを打たれたのが悔しい。自分に力がなかったんです…」

   絞り出すような声で、松井は振り返った。昨年夏の予選で勝った相手。最後の夏に全国優勝を目指していただけに、足をすくわれた思いなのか。

   松井は2年生だった昨夏の甲子園で三振の山を築き、一気に話題を集めた。1試合22三振の大会記録も作り、「大器」といわれ、プロ野球の目も引きつけた。今年に入ってからはメディア取材の軸となった。本人もそれを自覚しており、かなりのプレッシャーを背負っていたようだ。

   ただ横浜は相当警戒していたようである。横浜といえば松坂大輔を擁して春夏連覇を達成した強豪であり、同時に試合巧者として知られている。事実、松井対策として大きなカーブを見送る練習、さらにストレート狙いを徹底させたという。本塁打はその成果となった。

   甲子園でもっとも投げて欲しかった投手の予選敗退は、関係者にさまざまな影響を与えることになった。今年の大会は第95回を迎え「記念大会」と銘打っている。その最大の目玉が松井だった。高校野球連盟の関係者は「まさか…」と絶句したそうである。

   メディアも「うーん…」と唸ったままだ。松井の全力投球と弾けるような動きは、テレビ業界にとっては「絵になる若武者」である。新聞にとっても大きい。とりわけスポーツ紙は「これで最高の一面がなくなった」と頭を抱えている。

   プロ野球側はどうなのか。試合のあった横浜スタジアムには各球団のスカウトがずらりと並んだ。「残念だったね」という声は当然あった。

   しかし、彼らの本音はかなり違う。「プロからすれば肩を使わなくて済んだ。夏の甲子園で目いっぱい投げて故障でもされたら困る」というわけである。将来を案じる声が少なくないのだ。

   それでも「あのカーブだけで大丈夫」と評価は高い。昨年夏の甲子園が終わったあと、スカウトたちは「今すぐプロで通じる」と評価したが、これは変わっていない。多くの球団が「ドラフト1位候補」と太鼓判を押す。

   つまり松井の野球人生は敗退で区切りがつき、次が見えたというわけである。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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