参院選を取材していたあるテレビ局のスタッフが、街頭演説に立っていたみんなの党・山内康一衆院議員(39)に対し「通行人のインタビュー収録」を理由に演説のマイクを切るよう求めるという、なんとも非常識な要求をしていたことが明らかになった。
山内議員は当選3回。みんなで国対委員長・筆頭副幹事長を務める党の幹部だ。参院選終了後の2013年7月23日、ブログで「屈辱」「今でも思い出すと腹が立ってきます」としてこの一件を明かした。
若いスタッフが近づき…「マイク消してもらえませんか」
J-CASTニュースでは、山内議員に当時の状況について直接話を聞いた。「2週間経ってだいぶ落ち着いた」とのことで口調は穏やかだったが、当時はさすがに相当腹に据えかねたことがうかがえた。
「事件」が起こったのは2013年7月6日、さいたま市・大宮駅前でのことだ。この日、議員は埼玉選挙区から出馬していた行田邦子参院議員の応援演説に立った。人通りが多く、立ち止まることが難しい場所だったため固定の聴衆はなかったが、暑さの中、山内議員は懸命に声を張っていた。
そこへ、「某テレビ局の若いスタッフ」がずかずか近づいてきた。山内議員は局名を明かさなかったが、在京主要局の1つと見られる。同局のクルーは参院選取材のため、辺りでカメラを回していた。スタッフは「当然の権利のように」「こっちが迷惑をかけたかのような言い方」でこう求めたという。
「いま街頭インタビューを収録中なので、マイクの音を消してほしい」
当時、クルーは山内議員から十数メートル離れた場所で、通行人に対して選挙に関するインタビューを行っていた。「候補者の演説を聞いて、どう感じましたか」――といったものだ。そのインタビューの「邪魔」になるので、「ちょっと静かにしてくれ」ということらしい。山内議員はあきれた様子でこう語る。
「別の取材で来たならとにかく、我々の演説しているところを撮りに来たのに――ましてや選挙期間中ですよ。それに、わざわざそんな近くで撮影しなくとも、ちょっと離れて静かなところに行けば済む話ではないですか」
「奢るにもほどがある」の声
住宅街などならともかく、今回のような大通り、しかも正式な許可を受けての演説でこうした「要求」を受けたのは、「政治家を8年間やっていて初めて」だという。
「上着も脱いで普通に喋ってたからそうは思われなかったのかもしれませんが、一応党幹部なんですけどね」と、山内議員は苦笑いだ。もちろんその場で抗議を行い、直後に上司と見られる取材スタッフから謝罪を受けたという。ただ、この一件で気力がなえてしまったとのことで、山内議員は結局演説を止めてしまった。
参院選に関しては、日本維新の会の橋下徹・大阪市長が、街頭演説中に朝日新聞記者が「俺を誰様だと思ってる、朝日新聞の政治部の記者だぞ」などと同党スタッフに暴言を吐いた、と20日にウェブ動画で話し、記者に対し「横暴」との声が上がったことが記憶に新しい。今回の山内議員のブログにもツイッターなどで、「どちらの局なのだろうかね? 奢るにもほどがある」「テレビ局に抗議していい話だと思うな」と、テレビ局を批判する声が相次いでいる。