国民よりフォロワー優先でいいのか
かつてはソーシャルメディアを活用する政治家は珍しかったが、最近では「ネット選挙運動解禁」の流れもあり、安倍首相や橋下徹・大阪市長、猪瀬直樹・東京都知事など、自らの意見表明の場としてマスコミ対応以上に充実した情報を流す向きも少なくなく、メディアがそれを後追いするパターンが増えてきた。自民党きってのIT通として知られる平将明衆院議員は3月のJ-CASTニュースのインタビューで、
「今は、当事者の政治家がツイッターなんかで直接発言しちゃって、記者より早い。(中略)読者も記事を読むより、ツイッターでキーパーソン抑えておけばいいってことになる。マスコミはこれまでは他社との戦いだったのが、全然違うライバルが出てきた」
と評していたが、細野幹事長の「ツイッター辞意」も、まさに「記者より早い」の実例と言えようか。
こうした「ネット第一主義」は、政治家による情報の直接発信であり、ナマの声が聞けるとして期待する声が強い。一方で、ITジャーナリストの井上トシユキさんはこうも指摘する。
「今回のように野党の話ならともかく、たとえば政府や自治体などについての話が『ツイッターが最初』になってくると、ちょっと困りますよね。国民全体に広く発表すべき話を、フォロワー=支持者にまず伝えるということになりますから。芸能人がブログで出産報告をするのと同じようなノリでつぶやかれると、違和感がある人もいるのでは」