ツイート数推移から参院選を検証 終盤に「山本太郎」「原発」激増

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   自民党が圧勝した第23回参院選(2013年7月21日投開票)は、初めてインターネットによる選挙運動が行われた選挙でもあった。ネット利用者は、選挙期間中にどのような情報発信をし、それがどのように影響したのか。

   ツイートに含まれる選挙関連の単語の推移から検証してみた。

政策面では「原発」が「憲法」「TPP」大きく上回る

候補者と政党関連キーワードのツイート数の推移。青が「山本太郎」、赤が「ワタミ」、緑が「アントニオ猪木」。投票日に山本氏関連のツイートが爆発的に伸びていることが分かる
候補者と政党関連キーワードのツイート数の推移。青が「山本太郎」、赤が「ワタミ」、緑が「アントニオ猪木」。投票日に山本氏関連のツイートが爆発的に伸びていることが分かる

   ツイッターの運営会社は7月22日、公示前の7月1日から投開票日の7月21日にかけてツイッターで言及された選挙関係キーワードのツイート数推移を公表した。

   政策分野では、最も多くツイートで言及されたのが「原発」。中盤の13日には59316件だったが、増減を繰り返しながら19日には82339、20日には93206、21日には120986と、投票日が近づくにつれて急速な伸びをみせた。原発に次いでツイートが多かったのが「憲法」「TPP」「教育」だったが、原発と比べると言及された数は3分の2~半分以下。ツイッター上では、政策面では原発に対する関心度が飛び抜けて高かったことが分かる。

   では、脱原発を訴えた候補者についての関心はどうか。東京選挙区(定数5)から出馬して当選を果たした山本太郎氏に関するツイートが際立つ。山本氏に関連するツイートの数は、選挙終盤まで1日に2~3万程度だったが、投票日が近づくにつれて指数関数的に増加した。17日は40785、18日は48412、19日は64692、20日は93874、投票日の21日には前日の4倍近い364796、といった具合だ。

   投開票日の21日は、山本氏に次いでツイートが多かった候補者関連のキーワードは「ワタミ」「アントニオ猪木」だった。

元々のフォロワー数が「拡散力」に大きく影響

政策関連キーワードのツイート数の推移。赤が「原発」、オレンジが「憲法」、緑が「教育」、紫が「TPP」
政策関連キーワードのツイート数の推移。赤が「原発」、オレンジが「憲法」、緑が「教育」、紫が「TPP」

   その他の脱原発を訴えた候補者や政党幹部は、総じて低調だった。

   「みどりの風」代表の谷岡郁子氏は、最も多かった7月20日でも666。社民党党首の福島瑞穂氏の最大瞬間風速は7月10日の2673。20日は823、21日は1292だった。比較的ネット戦略に力を入れた共産党もふるわなかったようだ。委員長の志位和夫氏に関するツイートは7月19日に1821、20日に1780、21日に474だった。

   ここまで大きな差が開いた背景には、元々の「発信力」の違いがあるとみられる。ツイッターのフォロワー(登録読者)数に目を向けると、山本氏が約21万5000人いるのに対して、谷岡氏は1万6000人、福島氏は11万8000人、志位氏は2万4000人。

   ツイッターには、元々の発言をリツイート(転送)して拡散する機能があるため、発信元の発信力が強い分、波及効果も大きくなる。基礎体力がものを言うことが分かる。

   共産党や山本氏以外の「脱原発」派は低調だ。生活の党、みどりの風はまったく議席を獲得できなかったし、菅直人元首相の支援を受けた現職の大河原雅子氏(民主)は、激戦区の東京選挙区で当落ラインに遠く及ばなかった。

   一連のネット上の動きがどの程度実際の投票行動に影響したかは不透明で、実際、読売新聞が7月14日から16日にかけて行った電話世論調査では、投票先を決める際、ネット情報を「参考にしない」と答えた人が81%にのぼっている。

   政策面でもこの傾向は現れており、毎日新聞が7月4日から5日にかけて行った世論調査では、重視する争点をとして「年金・医療・介護・子育て」「景気対策」を上げた人が3割程度いたのに対して、「憲法改正」「原発・エネルギー政策」は、いずれも1割以下にとどまった。原発問題はネットに縁遠い有権者にとってはマイナーな論点だったとみることもできる。

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