民主党の海江田万里代表がフェイスブック(FB)で「ネットが政治をさらに劣化させた」などと発言し、ネット中で激しいブーイングが巻き起こり、「大炎上」している。
海江田代表は2013年6月初旬にネット選挙解禁に合わせて自身のFBを開設したが、その中での発言や、民主党代表としての態度が変だとしていろいろ批判が書き込まれていたが、今回は「ひどすぎる」と感じる人が多いようだ。
「ネットを利用する人は先ず正しい日本語を書き、文章を書く作法を身につけるべきだ」
海江田代表は13年7月18日付けのFBに、自分は子どもの頃から、新聞記者だった父親から文章を書くための作法を教わってきた、と書いた。文章は誤解を与えないように読む人のことを考えて書くこうと努力してきたし、当然、他の人もそうするものと思っていたが、ネット上の諍いを見ていると作法などはなく、他人を誹謗中傷する文章が溢れていると決めつけた。さらに、
「かつて『テレビが政治を悪くした』と言われたことがあったが、今や『ネットが政治をさらに劣化させる』と断じなければならない状況だ」
とした。ネット選挙解禁は若者と政治を結ぶプラスの面もあるはずだから、ネットを利用する人は先ず正しい日本語を書き、文章を書く作法を身につけるべきだとしみじみ思う、との感想も述べている。
これに対しコメント欄には、
「日本国民を馬鹿にするのもいい加減にしなさいな!」
「ネットが政治を劣化させるとか言うから、普通にネットをしてる人も怒ってんだよ」
「海江田さんや民主党への逆風は『日本語』が問題なのではありません」
などといった批判が並び、ネットの掲示板やツイッターなどでもバッシングが出て「大炎上」となっている。
実は6月上旬に海江田代表がFBを開設してから「炎上」続きで、選挙にマイナスになったのでは、といわれている。開設直後から経済評論家時代にPRに関わったとされる安愚楽牧場の問題に触れられ、
「そんなヒマがあるなら、安愚楽牧場の問題解決に向かいなよ!」
などといったコメントが書き込まれた。
7月10日付けでは福島第一原子力発電所所長だった吉田昌郎氏の訃報に触れた際に「詳しく書く暇はありませんが」という記述をしたため苦情が殺到することになり、「海江田氏は何を書いても炎上する」とネットで話題になった。
「ネットではやってはいけない最悪の出来事だ」
海江田代表は批判や苦情が余りに多いため、7月17日にコメントを投稿する人に対する「ガイドライン」をFBに掲載した。そこには、海江田代表の名誉・信用を傷つける内容や建設的な議論を妨害する行為は禁止、などが書かれていた。しかししばらくしてこのガイドラインは閲覧ができなくなり、次に掲載されたのが「ネットが政治をさらに劣化させた」という文章だった。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、今回の海江田代表のFB騒動について、
「自分だけは正しく偉いという上から目線で物を言い、批判が出ると逆上して、彼らは最低だと切り捨てる、ネットではやってはいけない最悪の出来事だ」
と見る。そして、今回のネット選挙の解禁ではどこの政党もネットを有効に使う以前にネット社会を全く知らないまま突入したようだ、と指摘する。
「まるでTVCMや、芸能人のブログと同じように、支持層や無党派層に阿るような使い方しかできていない。そして、炎上や誹謗中傷をひどく警戒し良い子ちゃんになることを目指してしまった。これではネット選挙の意味を成さない」
ネットというのは議論を巻き起こすには非常にいい場所で、選挙活動こそ政党や候補者の理念や政策をぶつけ有権者の思いを引き出し、盛り上げていく必要がある。
海江田代表の場合も、「安愚楽牧場」問題についてFBで説明した後に、自分の思いを伝えるのがネットの「暗黙のルール」であり、そういうことを全く知らなかったようだ、という。
「今回のネット選挙での失敗を教訓にする。そういう考えがなければ次の選挙もわけが分らないまま終わってしまう。そういうことになるでしょうね」