「自動速度維持装置の不具合が事故原因」 アシアナ機乗客83人がボーイング社提訴へ

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   米サンフランシスコ国際空港への着陸に失敗し3人が死亡した韓国アシアナ航空機の事故で、乗客の一部が、事故を起こしたボーイング777型機を製造したボーイング社を相手取り損害賠償を求めて提訴するための手続きに入った。米AP通信などが代理人の弁護士事務所の話として伝えた。

   乗客側は自動速度維持装置(オートスロットル)の不具合が事故につながった可能性があると主張しているが、事故機を調査している米運輸安全委員会(NTSB)は、自動操縦に関連する装置に異常はなかったとの見解をすでに明らかにしており、原告の主張が立証できるかは微妙な情勢だ。

シューターが内側に開いた点も問題視

事故原因は「機体不具合説」と「操縦ミス説」の2つが浮上している(NTSBのツイッターより)
事故原因は「機体不具合説」と「操縦ミス説」の2つが浮上している(NTSBのツイッターより)

   提訴を決めたのは、307人のうち83人。7月15日にはシカゴの裁判所に対して証拠保全の申し立てを行った。代理人弁護士は、数日中にアシアナ航空と複数の部品メーカーを相手取って提訴する意向。

   乗客側は、オートスロットル以外に、8台ある非常脱出用のシューター(滑り台)のうち2台が機体の内側に開き、けが人が出たり非常口をふさいだりした点を問題視。シートベルトにも不具合があり、一部の乗客は脱出の時にシートベルトをナイフで切断せざるを得なかったとも主張した。

   乗客側は、裁判所がボーイング社に対してオートスロットルと脱出用シューターの設計者と製造者を特定するように命じることを求めている。あわせて、事故機の残骸に対して「破壊検査」を行わないことや、整備記録や内部メモを開示することも求めている。

NTSBは「主要な自動操縦機器に不具合の兆候はなかった」

   事故調査を進めてきたNTSBは7月15日までに事故現場での調査を終了。今後はワシントンで分析作業を進める方針だ。ハースマン委員長は、これに先立つ7月12日の会見で、フライトレコーダーを解析した結果として

「オートスロットルや主要な自動操縦機器に不具合の兆候はなかった」

と話しているが、操縦士は聞き取り調査に対して「オートスロットルが設定通り動いていなかった」と、NTSBの見解と矛盾する証言をしている。事故原因は「機体不具合説」と「操縦ミス説」の2つからしぼりきれていないのが現状だ。

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