事故物件とは、前の居住者が自殺するなどした「いわくつき」不動産のことだ。なかなか借り手・買い手が付かないので、業者としてはあまりおおっぴらにしたがらない。
ところが不動産情報サイト「スーモ(SUUMO)」に、やけに「開き直った」事故物件が掲載され、人々を驚愕させている。しかも文章を読む限りでは、どうやらこの部屋「出る」らしい。
「一人暮らしなのに一人暮らしではないような…」
問題の物件は、千葉県浦安市のアパートだ。築30年と少々古いが、1Kで約20平米、バストイレあり、立地も上々、それでいて賃料がなんと2万3000円。本来の家賃は4万6000円とのことで、まさに破格と言っていい。
もちろん安いのには理由がある。「事故物件」だからだ。しかし、業者によるその説明が、なぜかやたら軽い。まずのっけから、
「事故物件♪ 人気の事故物件♪初期費用が少額♪TDL近い♪バストイレ付き♪」
と、「♪」を連発しながら事故物件であることをアピールしてくる。確かに、割安の家賃を狙って事故物件を探す人はいるが、業者の側が「新築♪」や「駅近♪」と同じノリで「事故物件♪」を主張することは普通まずない。同じスーモでも、ほとんどの業者は「瑕疵あり」「告知事項あり」などぼかした形で、隅のほうに小さく書いているだけだ。
続きもさらに凄い。
「一人暮らしなのに一人暮らしではないような感覚にさせてくれる寂しがり屋さんにオススメのお部屋です♪」
さらに、室内写真のコーナーには往年の人気漫画「オバケのQ太郎」のイラストが意味ありげに掲載されている。単に「事故物件」というだけではなく、出てはいけないモノがこの部屋では出るらしい。
一見するとなんの変哲もないアパートだが…
この物件ページは2013年7月15日夜ごろからツイッターなどで話題になり、「なんでこんな楽しそうなんだよw」「もう書いた人もヤケクソだな」と笑いが相次いだ。
それにしても、いったい何が「出る」のだろう。仲介業者に取材したものの話は聞けなかったため、実際に現地に足を伸ばしてみることにした。
浦安駅からバスで約5分、辺りはアパート・マンションが並ぶ静かな一角だ。2階建ての小ぶりな建物で、少々古びてはいるが、基本的には何の変哲もないアパートと言っていい。「事故物件」だというその一室の窓をしばらく見つめてみたが、何かが「出る」気配は残念ながら一向に感じられなかった。
なお、話題の物件には「住みたい」というものを含め多数の問い合わせがあったとのことで、16日午後でスーモでの掲載を終了している。