北海道新聞社の記者が「日本維新の会」への非公式の取材メモを社外に流出させたことが明らかになった。メールは報道各社に加え、「みんなの党」スタッフにも送信された。
参院選へ向けて各党が激しい選挙戦を繰り広げている中で起きたお粗末なミスに、「これ、ほんとうにミス?」という声もあがっているが、同社は「誤送信」だと発表している。
みんなの党から来たメールに誤って返信
北海道新聞社によると、記者が誤送信したのは2013年7月12日の夕方。メールには、参院選に関する情報や取材相手の名前などが記され、オフレコの扱いだった。同社は「取材メモを参院選取材班に一斉送信しようとした際、みんなの党関係者から届いていた報道機関に遊説日程などを知らせるメールに誤って返信した」と説明している。なお、メールにはみんなの党との選挙協力について、維新の会関係者が言及した部分もあったという報道もある。
加藤雅規・北海道新聞社編集局長は、「記者が取材したメモをメールの形で外部に流してしまったことは、報道機関として許されないことです。取材源を明らかにする結果になったことについても、極めて深刻に受け止めています」として関係者に謝罪するとともに、再発防止に全力を挙げるとコメントした。
読売の同様ミスでは記者が「諭旨免職」に
取材メモの流出は、2012年7月に読売新聞西部本社でも起きていた。担当記者は取材メモを同僚記者や上司にメールで送ろうとしたところ、誤って他の報道機関13社の記者にメールで送信。メモにはきわめて秘密性の高い警察情報が盛り込まれており、流出させた記者は諭旨免職、他の誤報もからんで編集局長は更迭、社会部長は降格という厳重な処分が下された。「厳しすぎるのでは」との見方もあったが、記者にとっての取材源の秘匿の重要性を示す事例となった。
北海道新聞社は担当記者の処分について現在「検討中」としている。