日本銀行は景気の基調判断を引き上げ、2年半ぶりに「回復」の文言を復活させ、「緩やかに回復しつつある」とした。2013年7月11日に開いた金融政策決定会合で決めた。
景気の基調判断に「回復」の文言が復活するのは「緩やかに回復しつつある」としていた2011年1月以来のこと。このときはリーマン・ショックから海外経済の立ち直りで日本経済も回復の動きが出始めたものの、同年3月の東日本大震災によって「回復」の動きが止まった。
今回は日銀の「異次元の金融緩和」に伴う円安・株高を背景に、消費や企業心理が改善。7月1日に発表した全国企業短期経済観測調査(日銀短観)でも、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が7四半期ぶりにプラスとなった。ただ、雇用と所得の改善の足どりは鈍い。
日銀は、消費者物価指数(CPI)の上昇率が「2年程度で2%に達する」との物価シナリオは維持するが、2013年度と14年度の物価見通しは4月時点に比べ0.1ポイントずつ小幅に下方修正し、それぞれ0.6%、1.3%へ見直した。会合では市場に供給するお金を示すマネタリーベースを2年で2倍に増やす「量的・質的金融緩和」の継続も全員一致で決めた。
日銀は経済・物価が想定通りに回復に向かいつつあると自信を深めている。