サンフランシスコ国際空港で2013年7月6日(米国太平洋時間)に起きたアシアナ航空機の着陸失敗事故で、事故直後の乗客の行動をめぐって議論が起きている。焦点になっているのは、「脱出の際には手荷物は持ち出さない」という基本原則だ。
今回の事故では、荷物を持ち出した人が少なからずいたようで、中国のネット上では「人命よりも荷物が大事なのか」という批判が続出している。
FAAの「90秒ルール」もとに脱出訓練
米連邦航空局(FAA)の安全基準では、航空機を製造する際には、全非常口の半分以下を使って全乗員・乗客が90秒以内に脱出できる構造にすることを求めている。これは「90秒ルール」として航空業界で広く知られており、脱出訓練もこのルールをベースにしている。この90秒ルールを守るための手順のひとつとして、手荷物を持ち出すことは御法度とされている。
手荷物自体が邪魔になり、脱出の遅れにつながるからだ。客室乗務員は、乗客がシューター(脱出用)から飛び降りる際に荷物を手放すように指示することになっているが、それでも手放した荷物が散らかって通路をふさぐ可能性がある。さらに、上の棚から荷物を取り出そうとすれば、通路で渋滞が起こる。