2010年4月から全域で路上喫煙を罰則付きで禁止している東京・千代田区が、現在は指定対象外の公園についても、禁煙・分煙とする新たなルール作りに動いていることがわかった。
喫煙者らは猛反対の声を上げているが、区の担当者は「喫煙者の受け皿を作るための施策だ」と訴える。
赤木智弘氏「喫煙者を排除するのは行政の怠慢」
2013年7月10日朝、千代田区の「公園の禁煙・分煙化」をNHKが報じた。
現在喫煙が禁止されていない公園に多くの喫煙者が集まっており、利用者や近隣住民から苦情が上がっているため、区内全ての公園を禁煙や分煙にするという新たなルールを作る、というもので、この報道についてインターネット上にはさまざまな意見が書き込まれた。
嫌煙家からは「歓迎」「大賛成」の声が上がっているが、喫煙者は「ひどい人権侵害」「マジキチ」など反発意見を書き込んでいる。
自身は非喫煙者というフリーライターの赤木智弘氏も、「路上喫煙を規制して、喫煙が公園に集まらざるを得ない状況を作ったのは千代田区の無策がゆえ。問題解決としては、千代田区の側に喫煙箇所分散の責任があるのであり、喫煙者を排除するのは行政の怠慢」「『俺が嫌いだから排除していい』というのは、最も愚劣な人権侵害であり、民主主義国家として恥ずべき考え方」と怒りのツイートを投稿した。
「喫煙者の受け皿を作るのが大事」理解求める
こうした意見に対し、千代田区の担当者は、「喫煙者にも嫌煙家にも配慮したルールを作る」と理解を求めている。
ルール作りに踏み切ることとなった背景として、区で11年前に路上喫煙禁止を条例化して以来、分煙を促進する企業や喫煙所には公的な支援をしてきた。しかしここ数年、会社や鉄道機関で「全面禁煙化」が進み、喫煙できる場所が激減してしまった。喫煙者がルールを守ろうとしたために、条例対象外の公園に集まってタバコを吸うようになった、という実情があるという。
しかし喫煙者の集まり方にも地域差があり、あまりに集中してしまっている公園もいくつかある。面積が広かったり、遊具が設置してあったりすると子どもの出入りも多く、そうした公園については「煙たくて迷惑」「子どもとすれ違った時に危険」という苦情が上がっていたそうだ。
そこで、利用者層などに照らし合わせ、地域とも話し合いながら、分煙にするか全面禁煙にするか、あるいは禁煙の時間帯を設けるなど、公園ごとにルールを決めていくという。同時に喫煙できる場所の確保にも動き、喫煙所を設ける民間企業には補助を出す構えだ。「社会全体で圧倒的に不足している喫煙者の受け皿を作るのが大事。ぜひ協力してほしい」と訴えていた。
ちなみに東京都の公園の喫煙禁止については、新宿区が12年4月から「面積が2000平方メートル以下の公園または駅や学校に近い公園、子どもの利用が多い公園や形態上分煙ができない公園は禁煙」とし、喫煙できる公園を18か所に限定している。